【テニス】ランキング上昇を狙うクルム伊達のラストスパート。
「気持ちも体も余力がある」 (2ページ目)
「ケガで戦えなかった時期があった分、気持ちも体も余力があるので、大会があるうちはもう少しやってもいいかなと思っている」
昨年末にクルム伊達は、ツアー下部大会で、2回準優勝、1回優勝をしたため、今年はこれから340ポイントをディフェンドしなければならないが、昨年と意気込みが少し違う。
「昨年は、何としてでもオーストラリアンオープン(全豪)の本戦出場を、と考えていましたけど、そこはあまりこだわりすぎず、自分のプレイを取り戻すきっかけになればと思いながら、大会に出たい」
さらに来年2月の女子国別対抗戦フェドカップ・ロシア戦は?と聞くと、「まだ先過ぎて......」とポツリ語るだけだった。
現在、クルム伊達のWTAランキングは105位(10月15日付け)。グランドスラム大会の本戦ストレートインの目安は104位前後で、来年1月の全豪本戦のボーダーライン上に位置している。今後、もしポイントを守ることができないと、来年の全豪は予選からになる可能性が高い。本戦ストレートインか予選からの戦いか、グランドスラム本戦出場を重視するクルム伊達にとって、そこが今後のキャリアのキーになるかもしれない。
「終わらせたいのなら、私はいつでもやめられます。今すぐ決めることでもないですし」
こう語るクルム伊達は、08年4月に37歳で再び戦い始めてから、この覚悟をいつも背負いながらプレイしてきた。
「再チャレンジを始めてから、もともと、限界から始まっているので、私が負けることは驚くようなことではない。大阪で準優勝したり(10年)、ソウルで優勝したりしたことが(09年)、ミラクルだった。ある意味、みんな命をかけて、ランキングを上げたり、グランドスラムで戦って必死になっている。その10代や20代の選手の中に、42歳の私が、真っ向勝負でやること自体が、当然難しいとわかったうえで戦ってきた」
42歳という年齢のハンデ、いつ大きなケガをするかわからないリスク、それらといつも背中合わせのギリギリのところで、クルム伊達はプレイしてきた。ただ今も変わらないのは、厳しい勝負の中でも最後まであきらめない彼女の姿勢だ。わずかな可能性があるのなら、戦うことから逃げたりはしない。
今週、クルム伊達は、ITFリモジュ大会で、ツアー下部では5月中旬以来の勝利を挙げ、ベスト8に進出している。ラストスパートをかけている彼女の2012年シーズンはまだ終わっていない。
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