【テニス】ランキング上昇を狙うクルム伊達のラストスパート。
「気持ちも体も余力がある」

  • 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi photo by Ko Hitoshi

大阪のHPオープンでは1回戦敗退。苦しい試合が続くクルム伊達公子大阪のHPオープンでは1回戦敗退。苦しい試合が続くクルム伊達公子 大阪で開催されたHPジャパン女子オープンに出場したクルム伊達公子の表情は曇りがちだった。シングルスを戦っている際に、彼女の表情が冴えることはなく、眉間にしわを寄せて、何か考え事をしているような厳しい顔つきになり、目つきも終始険しいままだった。

 だが、無理もなかった。1回戦で2時間13分におよぶフルセットの戦いを演じたものの、またしても勝利を手にすることができず、ワールドツアーでは、3月上旬のWTAインディアンウエルズ大会以来、勝利から遠ざかっている。

 試合後、クルム伊達はなかなか更衣室から出てこなかった。大会オフィシャルのスタッフも声をかけられないまま、試合後のインタビューの時間を決められずにいた。

 しばらくして会見場に現れたクルム伊達は、現役再チャレンジを始めて以来見たことがないような、ピリピリした硬い表情でナーバスになっていた。

「ずっと体は元気ですし、テニスは練習でも悪いわけではないですし、ずっと勝ち星がないだけ。特に、突然何かが変わったということはないですね。(勝てなくて)もちろん残念です。ケガがあって、自分が思うようなスケージューリングができなかったことが、(シーズンの)後半ありました」

 大阪でシングルス初戦敗退のクルム伊達だったが、イギリスの若手で20歳のへザー・ワトソンと組んだダブルスでは、初ペアだったにもかかわらず準優勝を手にした。ダブルスとはいえ、ツアーレベルの試合をひとつでも多くこなせたことは、クルム伊達にとって収穫だっただろう。

「彼女(ワトソン)といいリズムで、いいプレイができたので、充実して楽しかった。シングルスにもつなげられればと思っています」

 こう振り返ったクルム伊達の今季のWTAツアー参戦は、大阪が最後となったが、翌日にはフランスであるツアー下部のITF2大会に出場するため日本を発った。その後は、今年新設されたWTAチャレンジャーの台湾大会にも出場する予定で、その後のスケジュールは明言していない。

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