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元ラグビー日本代表・福岡堅樹がAI時代に考える未来の医者像「情報を効率的に伝えるだけでは機械と変わらなくなってしまう」 (3ページ目)

  • 齋藤龍太郎●取材・文 text by Ryutaro Saito

【スポーツに携わる分野には行きたい】

 ラグビーの元アルゼンチン代表で現ヘッドコーチのフェリペ・コンテポーミ氏は、トッププレーヤーと医師というふたつの顔を持つ稀有な存在だ。

「もちろん知っています。『海外にそういう方がいるということは、日本人でもできないことはない』と、ある意味、自信になりました。日本は昔からひとつのことにこだわるのを美学とする文化があり、何かほかのことを同時にやっていると白い目で見られがちであるのも理解はしていたので、それを取っ払える機会になればいいと思っています」

 新たな道を切り拓こうとしている福岡は、どの分野の専門医を目指しているのか。やはり恩人である前田朗氏(中編参照)のような整形外科医だろうか。

「自分のなかではほとんど固まってはいるのですが、どの専門医になるかに関しては実際にその道を選んだ時にお伝えしたいと思っていますので、今は明言していません。

 もちろん、何かしらスポーツに携わる分野には行きたいと考えていますが、元アスリートだから整形(外科)一択という考え方は自分としても疑問がありますので、いろいろな目線で見ながらスポーツに何か還元できるものがあれば、と考えています。

 それこそ、人と違う道を歩んできたことが自分のベースにはあるので、また違った視点からのスポーツへのアプローチも可能であり必要なのではないか、と考えながら準備しています」

 明言こそ避けたものの、いずれは元トップアスリートとして現役アスリートを支えたいという思いは強い。

「スポーツの分野に戻りたい、という気持ちは強いですね。『自分を一番生かす方法って何だろう』と考えた時に、トップレベルでやってきた経験はほかの医師にないものだと思いますし、選手たちに一番親身になって話ができ、一緒に考えることができる点は、これからも強みにしていきたいです」

 どの分野に進んだとしても、唯一無二の経験を持つドクターとなることに変わりはない。近い将来、誕生することになる「医師・福岡堅樹」は、トップアスリートのキャリアの歴史を塗り替えるだけでなく、スポーツ医療をも変える可能性を秘めている。そして彼が切り拓いていく道は、スポーツの未来そのものかもしれない。

<了>


【profile】
福岡堅樹(ふくおか・けんき)
1992年9月7日生まれ、福岡県古賀市出身。5歳でラグビーを始め、中学生で100m11秒台を記録した俊足WTB。福岡高3年時に全国高校ラグビー(花園)出場。筑波大では1年生からレギュラーとなり、全国大学選手権での活躍が評価されて2013年4月に日本代表初選出。2015年と2019年のラグビーワールドカップに出場し、後者は4トライを決めて日本代表初の決勝トーナメント進出に貢献した。通算38キャップ。男子セブンズ(7人制)日本代表として2016年のリオデジャネイロ オリンピックにも出場。パナソニックワイルドナイツ(現・埼玉ワイルドナイツ)ではラストイヤーとなったトップリーグ(現・リーグワン)2021シーズンで優勝を果たしMVPにも輝いた。同年から順天堂大学医学部に通う医大生。身長175cm。

著者プロフィール

  • 齋藤龍太郎

    齋藤龍太郎 (さいとう・りゅうたろう)

    編集者、ライター、フォトグラファー。1976年、東京都生まれ。明治大学在学中にラグビーの魅力にとりつかれ、卒業後、入社した出版社でラグビーのムック、書籍を手がける。2015年に独立し、編集プロダクション「楕円銀河」を設立。世界各地でラグビーを取材し、さまざまなメディアに寄稿中。著書に『オールブラックス・プライド』(東邦出版)。

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