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元ラグビー日本代表・福岡堅樹がAI時代に考える未来の医者像「情報を効率的に伝えるだけでは機械と変わらなくなってしまう」 (2ページ目)

  • 齋藤龍太郎●取材・文 text by Ryutaro Saito

【人と人との対話から医療の新たな糸口】

 ラグビー競技は試合中のコミュニケーション、さらに言えば限られた時間内で簡潔かつ確実に意思疎通する言語化能力が大事だと言われている。

「練習をしていても、ひとつのプレーに関してすぐに言語化して、経験として自分のなかに落とし込んだほうが次に生かしやすくなりますし、同じ練習量でもそれをより濃いものにすることができます。言語化によって効率を上げる、言わば経験の倍化です」

 医師という職業においても、患者との対話は重要な仕事のひとつとなる。

「今は実際に患者さんと直接コミュニケーションを取る機会がそこまで多くはないので、将来的に医師として言語化能力が生かせるかどうかはまだまだ学びが必要ですが、言葉を選んで伝えることについては日頃から心掛けています」

 一方で、ただ伝えることだけが医師の仕事ではない。伝え方や対話も重要だ。

「AIが台頭し、知識だけならAIが人間を上回る時代にはなりましたが、医者として大事になってくるのは患者さんとのコミュニケーション能力だと思うので、しっかりと対話しながら医療を進めていく必要があります。

 ただ、自分が伝えたい情報を効率的に伝えるだけでは機械と変わらなくなってしまうので、そこは考えながらコミュニケーションをとらないといけないですし、そういった一つひとつのコミュニケーションから学ぶこともたくさんあると思っています」

 医師と患者、人と人との対話から、医療の新たな糸口が見つかることもある。

「信頼関係を築けていれば、患者さんからいただける情報もきっと増えると思います。先生たちの外来の問診に同行させていただいてお話を聞いていると、そういうのがうまいなと学ばせてもらったりもしているので、いい経験をさせてもらっています」

 ワールドクラスの経験と成功に至った実績があるからこそ、すべてが医大生としての毎日に生きている。

「あらためて考えると、本当にこの(ラグビー選手から医師への転身の)道を切り拓くことができれば、前例がないからとあきらめてきた人たちが同じような道を選べるようになるかもしれません。ですから、こうしてがんばることのメリットは大きいと考えるようになりました」

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