ラグビー日本代表の新・笑わない男 エディージャパンに欠かせないライリーの決定力 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【トライ後に笑顔を見せることはない】

 トップレベルの選手から学んできたライリーが、桜のジャージーを着て躍動するまでに時間はかからなかった。

 日本代表資格を取得するやいなや、2021年10月に行なわれたオーストラリア代表戦で初キャップを獲得。スピードと決定力でたちまち存在感を示し、昨年のワールドカップも日本代表BK陣の中軸として全4試合に出場した。

 ただ、昨年のワールドカップで周囲の期待どおりの活躍ができたかといえば、そうではなかった。それは本人も自覚しており、「自分のパフォーマンスに完全に満足していたとは思わない。自信のないプレーもあった」と振り返る。

 ワイルドナイツに戻ったライリーは、決定力をさらに高めるべく研鑽に励んだ。その結果、昨シーズンはトライランキング2位タイの14トライを記録し、トップリーグ時代から4シーズン連続で「ベスト15」にも選出された。

 ちなみにライリーはトライ後、笑顔を見せることはほとんどない。そんな姿をファンは、チームメイトのPR稲垣啓太を引き合いにして『新・笑わない男』と称して親しんでいる。

「ちょっとシリアスで集中したい時もあるでしょ? 僕は笑っていないのが好きなんだ。グラウンドにいる時は、自分の仕事に集中してベストを尽くさないといけないから」

 リーグワンでの高いパフォーマンスを見た名将ジョーンズHCも、ライリーを放っておくことはなかった。新生エディージャパンにライリーも招集された。

 ライリーにジョーンズHCの目指すラグビーについて聞いてみた。

「ひと言で言うと(ジェイミー・ジョセフ前HC時代とは)まったく違う。若い選手を呼んでいることも、エナジーをすごく感じている。リーダー的な役割も増えてきているので、若い選手の成長をヘルプしていきたい。

 ジョーンズHCはチーム全員とコミュニケーションしていて、選手に対する責任の取り方も上手。『お前ならできる。信じればできる』などと言って自信をつけてくれますが、求められるものと違うことをやると、強く指摘される。会うと優しくていい人でした」

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