ラグビー日本代表の新・笑わない男 エディージャパンに欠かせないライリーの決定力 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【日本でポテンシャルが一気に開花】

 ジョーンズHCは厳しいコメントを残した一方で、高いパフォーマンスに目を細めた選手もいた。先制トライを決めたライリーについては、「最初に合宿に来た時より動きがシャープになってきた」と高く評価している。

 ただ、本人は悔しそうに試合を語った。

「勝つつもりでしたが、負けて残念です。PNCのこれまでの 3試合は、とてもいいパフォーマンスが続きました。でも、今日はできなかった。フィジカルの強い相手のプレッシャーにうまく対応できなかった」

 エースとして日本を牽引したライリーは南アフリカ出身の27歳。10歳で家族とともにオーストラリアへ移住し、そこでラグビーを始めた。5人兄弟の末っ子で家族は誰もラグビーをやっていないが、ライリーは才能を伸ばしてメキメキと頭角を表あらわした。その後、U20オーストラリア代表に選出されるまで上り詰めるも、結局ラグビー強国でプロ選手になることは叶わなかった。

 そんな折、埼玉ワイルドナイツを率いる世界的名将ロビー・ディーンズ監督から声がかかった。ライリーはそのチャンスに手を伸ばし、2018年に入団する。

「日本に来たことは、僕にとっても家族にとっても、大きな決断だった。だけど、自分を成長させるために必要な挑戦であることはわかっていた。だから日本に来て、プロのラグビー選手になる夢を続けようと思った。今の僕にチャンスを与えてくれた日本に感謝しています」

 チャンスを掴み取ったライリーは、そこから一気に成長していった。ワイルドナイツでは2020年から「不動の13番」となり、2022年にはチームの優勝に大きく貢献するとともにトライ王も獲得。ライリーは日本という新天地で、ポテンシャルを大きく開花させた。

 ワイルドナイツの環境が、ライリーの能力をさらに大きく伸ばしたことも事実だろう。

「ロビーが僕を導いてくれただけでなく、SO/CTBベリック・バーンズ、WTB/CTBディグビー・イオアネ、FLデビッド・ポーコックなど、ワラビーズ(オーストラリア代表)でキャリアを積んできた選手が多くの自信とヒントを与えてくれた。

 また、PR 稲垣啓太、HO堀江翔太、SO松田力也などの日本代表選手、そしてスプリングボクス(南アフリカ代表)やオールブラックス(ニュージーランド代表)の選手たちとワイルドナイツで一緒にプレーできたことで、さまざまなことを吸収できた」

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