ラグビー日本代表が掲げる「超速」は世界に通用したのか 新生エディージャパンの船出は予想以上に... (2ページ目)
【超速ラグビーが不発に終わった原因は?】
イタリア代表は2023年ワールドカップ後、アルゼンチン人のゴンサロ・ケサダHCが就任。前指揮官のキアラン・クローリー(現・三重ヒートHC)が育成した若手を生かし、今年はウェールズ代表やスコットランド代表に勝利、強豪フランス代表にも引き分けている。その実力はホンモノだ。
「プレーの精度、チーム力も上がっているので、集大成として臨みたい。全員がオプションになって、全員が走って、見ていて楽しい超速ラグビーを見せたい」
新生エディージャパンとなって5戦連続して先発に指名されたHO原田衛(ブレイブルーパス東芝)は、試合前に意気込んでいた。
※ポジションの略称=HO(フッカー)、PR(プロップ)、LO(ロック)、FL(フランカー)、No.8(ナンバーエイト)、SH(スクラムハーフ)、SO(スタンドオフ)、CTB(センター)、WTB(ウイング)、FB(フルバック)
しかし、5連戦の成果を確かめる集大成のイタリア代表戦で、ファンに披露したかった「超速」はいとも簡単に封じられた。
"第二の故郷"である札幌で凱旋試合となったキャプテンのFLリーチ マイケル(ブレイブルーパス東芝)は、超速ラグビーが展開できなかった原因を分析する。
「最初の20分で修正しきれず、点数を取られてしまった。ブレイクダウン(接点)周りでは、相手がボールキャリーを抱えたり、遅らせたり、9番がボールをさばく時に押して(反撃を)妨害された。テンポがよくないとセットプレーが安定せず、超速ラグビーができない」
セットプレーの要である原田も悔しそうに反省点を挙げた。
「体格やフィジカルで劣勢になると厳しい面が出てきたので工夫が必要。イングランドやジョージアのスクラムは高かったのでやりやすくヒットできたが、イタリアは低くてまとまっていた。ラインアウトもシンプルにやろうとしたが、遅らされて僕らのテンポが出なかった」
ただし、悪い点ばかりでもない。後半2分にはCTBディラン・ライリー(埼玉ワイルドナイツ)のインターセプトからトライを挙げて10点差に迫ったあとは、積極的に選手を替えながら相手ディフェンスに対応し、連続アタックを仕掛けることでペースを掴んだ。
「イタリアは固いディフェンスをしてきたので、それに適応するのに時間がかかった。でも、後半のスタッツを見ると、テリトリー76%、(ボール)ポゼッション74%と上回っていた」
ジョーンズHCも、その流れは及第点とした。
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