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「相手の思う壺にはまる」クボタスピアーズ立川理道はリーグワン逆転優勝に向け、どんなことをチームメイトに話したのか (2ページ目)

  • 齋藤龍太郎●文・撮影 text & photo by Saito Ryutaro

【勝利を導いた立川理道のキックパス】

 試合を決めたのはそんな立川のプレーだった。

 前半、スピアーズはリーグ戦得点王のSOフォーリーが3本のPG(ペナルティゴール)を決めて9-3とリードしたまま試合を折り返す。後半に入り、スピアーズはPGをさらに1本成功させて12-3とリードを広げるが、勝負強いワイルドナイツに連続トライを許し12-15と逆転される。

 すでに後半25分を過ぎ、試合時間は残り10数分。それでもスキッパーの立川は冷静だった。

「(ワイルドナイツの)2トライ目で逆転された時、ハドル(円陣)のなかで『まだ時間はある。ここで無理に戦術を変えてしまうと逆に相手の思う壺にはまる』と話をした」

 あくまで信じて取り組んできたスピアーズのラグビーを貫くようチームメイトに指示した立川がビッグプレーを見せたのは、そのハドルを組んだ直後、後半29分だった。SH藤原のハイパントをWTB(ウイング)根塚洸雅が競り合いを制してボールキャリーする。ラックからパスを受けた立川は、左大外に構えるWTB木田晴斗に向けて長いキックパスを放つ。がら空きのインゴールへ走り込んだ木田のトライで、スピアーズは17-15と逆転に成功する。

 リーグ戦2位の16トライを挙げた、2年目の期待のウインガー、木田はこう振り返る。

「リーグ戦でも同じ場面があったので冷静に判断できた。(立川に)気づいてくれ、という思いだった」

 木田の懐に飛び込む正確なキックパスを放った立川も至って冷静だった。

「ボールをキャッチした瞬間は誰かにパスする、または自分で(ボール)キャリーする、といった判断をする必要があるが、横を見た時に木田が手を挙げていたので、そこで(キックパスという)いい判断ができた」

 ベテランと若手の冷静な判断とコミュニケーションが見事な決勝トライを生み出した。

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