ラグビー明治大・石田主将「数えきれないくらい、ひとりで泣いた」。誹謗中傷に耐え続けて戦った大学最後の1年間 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

【目指すは100周年で日本一】

 明治大は6シーズンぶりに「正月超え」を果たせなかった。

 明治大を率いた神鳥裕之監督は語る。

「セットプレー、特にスクラムは優位に働いていたが、(後半)少し反則が取られたところは素直に早稲田大さんの準備や強さがあったのかなと思っています。そこを凌駕するチームを作らないといけない。

(早稲田大は)やはり強い相手ですので、中3週間ではやりづらさや難しさはあったが仕方がない。連続して勝つことで成長できると捉えていた。対抗戦2位という順位、このスケジュールで、我々としては最善の準備をするだけだった」

 キャプテンとして明治大の先頭に立った石田はこの1年、SNSでの誹謗中傷で精神的に苦しんだという。

「正直きつかったし、孤独でしたし、つらかった。数えきれないくらい、ひとりで泣いた。でも、明治大のキャプテンなので、そういうこととも戦うことは当たり前だと思っていたし、日本一という景色を全員で見に行きたかった。チームメイトのみんながいたので、乗り越えられたし、人として成長できた。キャプテンになったから、明治のみんなが大好きになった」

 1923年創部の明治大ラグビー部は、2023年が創部100周年の節目のシーズンとなる。99代目の石田キャプテンは「後半はみんな最高のプレーしてくれたので、感謝の気持ちを伝えたい。来年が創部100周年なので、明治の歴史として『100周年で日本一』を期待しています」と後輩たちにエールを送った。

 この悔しい経験を糧に、創部100周年を迎える来季、紫紺のジャージーは王座奪還を目指す。

【筆者プロフィール】斉藤健仁(さいとう・けんじ)
スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に「ラグビー『観戦力』が高まる」「世界のサッカーエンブレム完全解読ブック」など多数。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る