堀江翔太が「クローザー」と呼ばれるわけ。ワイルドナイツも日本代表も勝利に導く「スーパー特別な選手」

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 圧倒的な強さでリーグワン・ファイナルに勝ち上がってきた"野武士軍団"ワイルドナイツ。その精鋭たちのなかに「守護神」「クローザー」と呼ばれる特別な選手がいる。

 5月22日、東京・秩父宮ラグビー場で行なわれたリーグワン・プレーオフ準決勝。リーグ2位の埼玉パナソニックワイルドナイツは同3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイと激突した。ワイルドナイツは前半から持ち前の堅守速攻を見せて2トライを奪取。さらに後半もモールからトライを挙げて24−10で快勝し、5月29日に国立競技場で行なわれる決勝に駒を進めた。

堀江翔太はワイルドナイツに欠かせぬ存在だ堀江翔太はワイルドナイツに欠かせぬ存在だこの記事に関連する写真を見る コロナ禍の影響で開幕2試合を不戦敗スタートとなったものの、その後は負け知らずの15連勝を達成。そのワイルドナイツのなかで絶対的な安心感を与え続けているのが、36歳のHO(フッカー)堀江翔太だ。日本人FWとして初めてスーパーラグビーでプレーし、日本代表の一員としてワールドカップに3回出場している大ベテランである。

 この準決勝でも後半14分から出場した堀江は、いつもどおり仲間に大きな声をかけ続け、チームに落ち着きをもたらしていた。試合後、トレードマークのトレッドヘアを頭上に結びながら、「アタックでもディフェンスでも、常にプレッシャーをかけていくことができた」と満足げな表情で振り返った。

 後半25分にはモールから試合を決めるトライも挙げた。「(FWの)前の選手が行ってくれたので、それについていっていただけ」と謙虚に話す。またFWとして相手の強力なモールを止めたディフェンスについても「そんなに(対策は)やっていないですよ。個々が役割を果たした」とのこと。

 堀江はいつもどおり、淡々と涼しい顔で語る。そこに、過度な気負いは一切ない。

 チームのディフェンス陣をまとめる存在である堀江は、まさしく「プレイングコーチ」とも言うべき存在だ。レギュラーシーズン中もチーム状態が悪いと、ライン際から選手に指示を与える姿があった。

「ベンチで分析して、試合に入ったらうまくいっていないことを修正しようとする。また、相手がどうするか予測して、それをチームメイトに話しながらプレーしている」

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