明治大、前半0−31でパニック。
今季無敗の王者に何が起きたのか (2ページ目)
前半早々、明治大はアタックを仕掛けるが、早稲田大FW陣の奮闘によってなかなか前に進めない。明治大の誇る強力FW陣が前に出ていけないため、BK陣もいいテンポでペースを作れず。結果、明治大の陣営は徐々に下げられていった。
うまく噛み合わない状況は、ディフェンス面にも影響を及ぼす。早稲田大のアタックの前に、明治大は後手を踏むようになっていった。
前半9分、明治大は反則を犯し、相手にPG(ペナルティゴール)を決められて先制される。さらに前半12分、ラインアウトからのサインプレーで狭いサイドを突かれ、今度はトライを許してしまった。
試合序盤で0−10。その時の状況を振り返り、田中監督や武井主将から出てきた言葉は「パニック」だった。
「アタックで主導権を握られて、コントロールされていた。さらに(相手の)粘り強いディフェンスで一時的なパニックに陥った」(田中監督)。「前半立ち上がりの失点でパニックになってしまった」(武井主将)
円陣で選手同士のコミュニケーションは取れても、新しい国立競技場、しかも満員の観衆で、プレー中はほとんど言葉が伝わらなかったという。一度、相手に傾いてしまった流れを、簡単に取り戻すことはできなかった。
前半26分にはラインアウトから一発でトライを許し、前半34分にもゴール前のモールからトライを奪われた。さらに前半39分には、スクラムを起点にまたも狭いサイドを突かれ、この日4つ目の失トライ。明治大は0−31という予想外のスコアで前半を折り返すことになった。
現代ラグビーでは、4トライでも追いつけない29点差がセーフティリードと言われている。ディフェンスで粘ることができずに大量失点を喫し、「前半で勝負あり」という展開になってしまった。
それでも、紫紺の軍団は最後まであきらめなかった。
田中監督は選手たちに「自分たちがやってきたことをやっていない。ボールキャリアが前に出ていない。基本に立ち返れ」と声をかけ、武井主将も「スローガンの『真価』が苦しい状況でこそ試される。逆転する」という気持ちになって後半に臨んだ。
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