2020.01.12

早大が共有していた「勝ちポジ」の意識。
明大に雪辱し11年ぶり王座奪還

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 魂がふるえる。木漏れ日のごとく、柔らかい冬の陽射しが降り注ぐ中、創部101年目、優勝した時にしか歌えない早稲田大学の第二部歌「荒ぶる」が新たな国立競技場の大屋根に響き渡った。11年ぶりの大学日本一。50歳の相良南海夫監督は大声で歌った。

「荒ぶる」を歌う早稲田大学の相良監督と選手たち「最高の気分でしたね」

 相良監督は大学2年時の89年度に優勝を経験したが、4年時の主将の年には決勝にすら進めなかった。それが、次男の1年生FL(フランカー)昌彦を擁しての王座奪回。

「自分は卒業するときに歌えなかったんで...。まあ、感無量というか、本当にいいものだなと思いました」

 11日、ラグビーの全国大学選手権決勝。新国立ということもあってか、伝統の一戦に5万7千345人が詰めかけた。40日前の早明戦では大敗(7−36)していた早大が、FW(フォワード)、バックスがワンチームとなって、45−35で宿敵明治大学に雪辱を果たした。
 
「勝ちポジ」。40日間、早大の選手が練習で意識してきたことだ。勝てるポジション、強いポジション、つまりはストロングポジションである。タックルでもアタックでも、挑みかかる気概を体現する姿勢か。

 優勝の瞬間、左手を突き上げたSH(スクラムハーフ)齋藤直人主将は泣いていた。「ほっとしました」。その主将が説明する。

「タックルに入る前の姿勢の部分などを、自分たちは"勝ちポジ"と呼んでいるんですけど、ディフェンスでも、アタックでも、(12月1日の)早明戦以降の練習の最初から最後まで意識してきました。今日の試合、80分間とは言わないですけど、前半の40分はできたのかなと思います」

 早大にとっては、最高のゲームの入りだった。明大の左右の展開を厳しいディフェンスで止め、相手のミスを誘った。前に出る鋭いタックルで明大をパニック状態に陥れた。前回の早明戦との一番の違いは、接点の部分だった。前回は毎回、明大の選手にゲインラインの裏に出られた。でも、この日は逆にコンタクトして一歩、前に出た。つまりは当たり勝った。

 今季、春先から重視してきたディフェンスに勢いがつく。明大に重圧をかける。ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)でも優位にたった。前回の早明戦は故障欠場し、準決勝から復帰していた大型CTB(センター)の中野将伍が攻めの基点となった。タックルでも体を張った。「勝ちポジ」と言った。

「棒立ちではなく、しっかり、いつでもスタートポジションをとって前に出られるような体勢でセットし続ける。自分たちのディフェンスを、面を崩さずにできました」

 前半12分、ラインアウトから左へ展開し、ラックから右へ回した。CTB中野が相手をひきつけ、外のナンバー8丸尾祟真にパス。快足を飛ばし、丸尾が右隅に飛び込んだ。中野が「いい感じでボールをもらえて、つなげられました」と笑えば、丸尾は「立ち上がりのいい流れは予想外でした」と明かし、続けた。

「まあ、いいディフェンスができていたから、流れがきたのかなと思います。"勝ちポジ"って、すぐに立ち上がるのは大前提で、きつい場面でもヨコとつながり続けることが大事なんです」