ラグビー日本代表が歴史を変えた!
勝因は「果敢なアタック」と「我慢」

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 齋藤龍太郎●撮影 photo by Saito Ryutaro

「ONE TEAM」となったジェイミー・ジャパンが、日本ラグビーの歴史を変えた。

 10月13日、ワールドカップ予選プール最終戦――。日本代表(世界ランキング8位)は神奈川・横浜国際競技場でスコットランド代表(9位)と激突した。対戦成績は日本の1勝10敗で、互いにテストマッチと認めた試合は0勝7敗。過去のワールドカップでは3度対戦して、一度も勝利したことがなかった。

試合後にリーチ主将と抱き合うジョセフHC試合後にリーチ主将と抱き合うジョセフHC だが、日本代表は逆境を跳ね返し、28-21で見事勝利。初の決勝トーナメント進出を決めた選手たちは試合後、チームソング「ビクトリーロード」を輪になって歌い、歓喜を爆発させた。

 キャプテンのFL(フランカー)リーチ マイケル(東芝)は言う。

「今週は多くの人に感動や勇気を与えるチャンスだったので、常に準備することを意識してやってきた。ピッチ立っていた23人だけじゃなく、『ONE TEAM』で勇気を持ってプレーできた」

 試合前日、大会直前の網走合宿まで一緒に戦い、メンバー入りできなかった10人の選手から、応援メッセージのビデオが送られてきた。それを観た選手たちは、さらに心をひとつにした。

 日本列島を襲った台風19号の影響により、試合が開催されるのかどうか、当日の朝まで判断しかねる状況だった。しかし、さまざまな状況を考慮した結果、試合は行なわれることになった。

「台風19号で被害に遭われた方がたくさんいる。ラグビーを通して、日本中に感動・勇気を与えられるようなプレーをしよう」

 日本代表を率いるジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は試合前のホテルで、選手にそう伝えた。

 開幕3連勝の日本代表は、引き分け以上で予選プールAの首位通過が決まる。負けてもボーナスポイント次第で決勝トーナメントに進出できる、という有利な条件だった。

 だが、最初から仕掛けていったのは、日本代表のほうだった。

 台風19号の犠牲者に捧げる黙祷と国家斉唱のあと、日本代表戦・最多記録となる67,666人が集うなかで試合は始まった。日本代表はキックオフのボールを転がすトリックプレーで、いきなりマイボールにする。「最初から積極的にいくぞ」という姿勢が、ひしひしと伝わってきた。

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