堀越正己が思う日本代表。「決勝トーナメントで勝つ戦術を選択した」 (3ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

――他のスクラムハーフ代表候補の田中史朗、流大、茂野海人はどうでしょうか。持ち味は。

「田中は経験豊富なので、ボールを出すタイミング、例えば一瞬遅らせるとか、一瞬早く出すとか、そういった持ち出す能力に長けているのじゃないでしょうか。流はゲームの理解力が高い。茂野は一番、アグレッシブでしょうか。それぞれ特徴があります。ジェイミーさんがどう使うかでしょう。おそらく、最初は田中でいって、(途中から)流でテンポを上げるんじゃないかなと思いますが」

――勝利のため、日本代表の戦う上でのポイントは何でしょうか。

「前の大会と一緒です。まずはミスをなくすことです。ペナルティもそうですけど、ノックオンとか、ノットストレートとか。相手ボールのスクラムを減らすことが、勝ちにつながる戦い方じゃないかなと思います。もちろんタックルの精度もですが、キックを蹴るなら、ディフェンスはきっちりしていないといけません。そこのイージーミスをなくすことです。日本が勝った15年の南ア戦、僕が数えていてノックオンでのスクラムは2回しかなかったと思います。ノックオンのアドバンテージオーバーでスクラムにならなかったケースも1、2度あったかもしれませんが、とにかくミスによる敵ボールのスクラムが少なかった」

――日本代表の初戦(9月20日)の相手はロシアです。

「弱くない。日本が全力を懸けるべきはロシア戦でしょう。そこで負けると、何もなくなっちゃうので。これは一番のキーだと思います。ロシアはフィジカルが強くて、スクラムも弱くない。ミスをなくして、確実に点をとっていき、敵陣で戦うのが一番でしょう」

――ところで、堀越さんは女子ラグビーの普及にも尽力されています。

「(競技人口は)増えてきています。何とか、女性が子どもを産んでくれた時、ラグビーは危なくないと思って、子どもにラグビーをやらせてくれたらいいなと思って、熊谷でクラブを始めました。ワールドカップをきっかけとし、女子の普及も広がってほしいですね」

――最後に。将来の日本ラグビー界は何色でしょうか。

「新しい日本ラグビー協会の(副会長に就任した)清宮(克幸)さんに期待して、また一緒にラグビーをやっていた岩渕(健輔=新専務理事)にも期待して、ピンク色ということでお願いします。ジャパンのチームカラーの桜色です」

 小柄なからだにはエネルギーが詰まっている。芸術的なパスさばきでファンを魅了し、通算キャップ(国別代表戦出場)数は「26」を数えた。50歳。「日々、新たなり」をモットーとする。日々、新たな気持ちで成長しないと、自分もチームも成長しないということだろう。日本代表に栄光あれー。

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