堀越正己が思う日本代表。「決勝トーナメントで勝つ戦術を選択した」 (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

――日本で開催されるラグビーワールドカップのレガシーとして期待することは。

「日本の人々にレベルの高いラグビーを見てもらって、ラグビーへの興味を持ってもらうことですね。一度、ラグビーをやって、離れた人がもう一度、ラグビーをプレーするとかもいいでしょう。前回のワールドカップでは"五郎丸効果"でラグビー人気が上がりました。その結果、ラグビーの受け皿がけっこう大きくなったと思いますので、今回、さらにそれが大きくなればいい」

――そのためには、日本代表の活躍はマストです。いまの日本代表をどう見ていますか。戦術としてはアンストラクチャー(崩れた局面)からの攻撃重視やキックを駆使するよう変化していますが。

「エディーさん(ジョーンズ氏=前日本代表ヘッドコーチ、現イングランド代表HC)は決勝トーナメント進出を目指してチームを作っていたじゃないですか。でも、ジェイミーさん(ジョセフ=現日本代表ヘッドコーチ)はさらに上を目指しているんじゃないでしょうか。だから、戦い方を変えている。決勝トーナメントに入っても勝てるような戦術を選択しているわけです。それがいいかどうか、やってみないとわかりません。(1次リーグで)4戦全勝もあるし、全敗もありうるでしょう。厳しい試合がつづきます」

――日程としては、開催国として恵まれました。1次リーグは初戦から試合間隔が7日、6日、7日ですか。

「それは大きなアドバンテージです。チームは全部、いいコンディションで戦えます。それをフルに生かして、3勝1敗といわないで、全勝を目指していってほしい。実際、目指していると思いますが」

――日本はA組1位か2位になれば、準々決勝では東京スタジアムでB組1位か2位のニュージーランドと対戦する可能性も生まれます。実現すれば、1995年の悪夢の17-145の大敗の裏返しを。

「ははは。裏返しには絶対、ならないと思いますが。勝敗だけは逆になる可能性も出てくる。日本中が盛り上がりますね」

――スペースがあれば、効果的なキックを活用していくジェイミーの戦術はあり、ですか。

「ありでしょう。からだを酷使しないためにも、必要なんじゃないかと理解はできます。まあ、戦い方として、エディーさんのほうが日本的ではあるでしょうが。僕がスクラムハーフ(SH)だからですけど、日本人のスクラムハーフのほうが、外国人より、テンポが上がると思うんです。だから、ジャパンではスクラムハーフはずっと、日本人ですよね」

――日本のアップテンポですね。

「そうです。日本人のテンポに、(味方の)外国人選手が合わせられるようになれば、より強くなるでしょう。その中でキックを使うべきなんです」

――選手としては誰に注目しますか。やはりスクラムハーフでしょうか。

「僕はずっと、日和佐(篤)がよかったと思うんですけど。彼はコンタクト力がつよい。そして、3人の世界を代表するハーフからプレーを教わっているんです。サントリーでジョージ・グレーガン(豪州)とフーリー・デュプレア(南ア)、神戸製鋼でアンドリュー・エリス(ニュージーランド)。最後にエリスに教わって、早稲田大学でうるさく言われていた"帰るディフェンス"を習得しています。それが、(昨シーズンの)神戸製鋼優勝の理由の1つだと思います」

――ただ日和佐選手は日本代表候補合宿から外れていますが。

「まだわかりません。チャンスはあります。誰かがケガをする可能性もあるし、何が起こるかわかりません」

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