ラグビーW杯、日本代表の最終兵器の名は「アタアタ・モエアキオラ」 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 だが、サンウルブズの合宿に参加した直後、アタアタは練習中に右肩を負傷。結局、そのシーズンはスーパーラグビーに出ることが叶わなかった。

 また、同年の夏合宿明けにも右ひざの半月板を痛めてしまい、昨年の1月にはメスを入れることになる。度重なるケガに苦しむ日々を過ごし、サンウルブズや日本代表に呼ばれることもなくなった。

 U20の世界大会に出場していた強豪国のライバルたちは、すでにトップレベルで活躍している......。アタアタは焦る気持ちを抑えながら、さらに成長できる場を東海大の木村季由監督とともに探した。それが、神戸製鋼とチーフスだった。

 アタアタについて、ジョセフHCに話を聞くと「ポテンシャルはあるが、まだまだ」と言い、日本代表の強化副委員長とサンウルブズゼネラルマネジャーを務める藤井雄一郎氏も「(日本代表やサンウルブズには)いいWTBがたくさんいるので......」と、まだ戦力として見ていないのも事実だ。

 しかし、東海大の木村監督は力強く語る。

「(ジョセフHCが)ユーティリティ選手を評価しているのであれば、アタアタはBKならどこでもできるし、いざという時はFLやNo.8だってプレーできる」

 たしかにアタアタは、ベンチに置いておけば安心できる選手だ。

「僕には日本しかない。僕が日本でラグビーできるのは、トンガの両親や日本で関わってくれた人たちのおかげ」

 周囲への感謝を胸に、身長185cm・体重113kgの体躯を誇るアタアタの夢は「日本代表としてワールドカップに出場すること」。強豪チーフスで活躍することが、いずれワールドカップでの桜のジャージーへとつながっていく。

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