スタイル変更も前への精神は不変。
22年ぶりVで明大が新時代を築く (6ページ目)
また、田中監督の勧めで、4年生22人全員でラグビー寮がある八幡山駅近くの中華料理店で「決起集会」を開き、その後、スーパー銭湯に行った。食事をしながら、とことん話し合って、チームの方向性を確認した。
高橋が「4年生の熱量」を強調する。
「全員が本音でした。感極まって泣いている人もいた。全員がひとつになりました」
いろんな要因がかみ合っての名門復活である。田中監督の3年時に大学日本一になって以降、明大は長い低迷期に入っていた。1996年に北島前監督が亡くなった後はチームの指導方針もぶれ、好素材をうまく育成できなくなった。危機感を抱いた明大はラグビー部の立て直しに乗り出した。
とくに2013年に監督に就任したOBの丹羽政彦さんは単身でラグビー寮に住み込み、私生活からの改善に乗り出した。チーム作りに大事な「規律」である。いまや、古い慣習は消え、掃除も洗濯も全員でやる。理不尽な上下関係は消えた。新たなクラブ文化が芽生え始めた。
そして、昨季、トップリーグのサントリーに在籍していた田中監督がHC(ヘッドコーチ)に就いた。昨季は練習のマインドセット(心構え)をたたき込んで、今季はサントリー時代、エディー・ジョーンズ前日本代表HCからも学んだ試合分析やシステムなど、勝つためのノウハウをチームに落とし込んできた。
例えば、明大の練習は授業前、朝6時半からスタートする時もある。選手は5時頃には起きて準備しないといけない。田中監督が述懐する。
「寝ぐせをつけたままの学生がいたので、"僕が寝ぐせをつけてきたらどうする"と聞いた。"やる気がないと思います"と返ってきた。"お前も同じことをしているんだ"って」
今季は寝ぐせをつけている学生は皆無となった。チームは変わったのだ。
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