逆転でセブンズ五輪代表入り。
藤田慶和「W杯の悔しさを胸にリオへ」

  • 斉藤健仁●取材・文・写真 text & photo by Saito Kenji

 逆転のメンバー入り、と言えるだろう。

リオデジャネイロ五輪まで残り約1ヶ月に迫った6月29日、今大会から正式種目となった「7人制ラグビー(セブンズ)」のオリンピックメンバー14名が発表された。そのメンバーには、2015年の15人制ワールドカップで3勝を挙げたメンバーから山田章仁、福岡堅樹とともに、22歳の彼の名前もあった。

W杯での悔しい思いを胸にリオ五輪に挑む藤田慶和W杯での悔しい思いを胸にリオ五輪に挑む藤田慶和 藤田慶和――。

 3月~4月の大会ではケガの影響もあってメンバー外となり、「オリンピックへの出場は難しいのでは......」とも思わせた。それでも、藤田はあきらめることなく、「昨年のワールドカップで経験したことですが、(メンバーに選ばれるように)アピールばかり考えると、ポジティブになれない。先のことよりも、目の前のことを考えてプレーする」というメンタルに切り替え、練習に取り組んだ。

 5月の沖縄合宿では、「エディージャパンの合宿を経験していなかったら、乗り越えることができなかったかもしれない」(福岡)と言われるほど激しいフィジカルトレーニング中心のメニューを敢行。「(チームよりも)個人にフォーカスした」という藤田も、昨年のワールドカップで94kgまで上がった体重を5kg以上落とし、すっかりセブンズ仕様の肉体に仕上げた。

 そして6月、網走と札幌での試合形式の練習でも、藤田は好調ぶりをアピール。国内の練習相手に、かつて3年間無敗で駆け抜けた高校時代を彷彿させるようなダイナミックなランを披露し、見事逆転でリオ五輪代表メンバー入りを勝ち取った。

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