【ラグビー】今泉清氏が提唱「ワン・フォア・オール・ジャパンで」 (3ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu
  • photo by Kyodo News

――競技の魅力でいうと、人気にも大きく左右されるでしょうか?

今泉 もちろん、(人気は)ないよりはあったほうがいいでしょう。ラグビー関係者に対して言いたいことは、ラグビー日本代表の選手がバラエティー番組に出ることが代表の強化になるわけではないということです。

今のラグビーブームは、日本代表がワールドカップで南アフリカなどに勝利したことで注目を集めている状況なのです。そこのところを勘違いしないでほしい。それよりも問題は、ラグビーの普及・育成です。ラグビー日本代表が活躍するのを、メディアを通して見た子供たちがラグビーをやろうと思った時にラグビーができる環境がまだないことです。

実際、日本全国に小学生までのラグビースクールは結構、あります。でも、中学校にはラグビー部がない。だったら、ラグビー協会がすべての都道府県に「中学校にラグビー部を創ってください」ともっと働きかけてほしい。その際、私たちがちゃんとコーチングスキルを持ったスタッフを派遣します、ラグビー部のコーチを提供します、としなければ増えませんよ。そうなると、ラグビー選手のセカンドキャリアの機会拡大にもつながります。

――環境、仕組みは大事です。

今泉 サッカーの百年構想に相乗りさせて頂き、ラグビーも一緒にやりましょうって。東京都の全国高校選手権大会の予選の1回戦、どこで試合をするか知っていますか。荒川の河川敷でもやるんですよ。ロッカーもない。雨が降ると、試合後、びしょびしょになりながら、ユニホームを着替えるわけです。寒い中、冷たい水道水で体を洗う。それを見て、親御さんが子供にラグビーをさせたいと思いますか。全国大会の予選、つまり高校3年生にとっては最後の公式戦です。このような環境でしか試合ができない状況を目の当たりにして、かわいそうで涙が出てきました。

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