五郎丸歩が2015年をふり返る。「変わったこと、変わらないこと」 (2ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu   齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 この日は足では3ペナルティーゴール、2ゴールの13得点。7本中5本のキックを成功させた。後半3分にはモールからの左オープン攻撃でディフェンスの隙間を突いて、自らトライを奪った。以前なら、相手を引きつけてパスを外に出していたかもしれない。が、今季はイケると思ったら自分で勝負する。

 五郎丸が述懐する。

「あの場面、(ペナルティーキックの)アドバンテージがあったので、思い切り攻めることができました。僕がボールを持った時点で、(相手のマークが)半分ずれていたので、もう自分でいこうと判断しました」

 佐賀工高―早大でも先輩となるスタンドオフ大田尾竜彦が、五郎丸の微妙な成長を説明してくれた。

「トライを獲るところにいるようになった気がします。ポジショニングがよくなっている。(いいところで)ボールを呼び込めるようになっています」

 五郎丸といえば、人気の「お祈りポーズ」のように、ルーティンである。地道な努力の継続があって、初めてルーティンが意味を持つものになる。ファンに騒がれようが、メディアに持ち上げられようが、謙虚な姿勢は変わらない。驕(おご)りは微塵もない。

 これは凡人にはマネができない。大田尾がそっと教えてくれた。

「あいつ(五郎丸)は繊細な男ですから。自分を保っておかないと、いろんなところが崩れてしまうことを敏感に察知しているからじゃないですか」

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