【ラグビー】大畑大介の願い「W杯ベスト8で、新しい風景を見てほしい」 (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 石山慎治●写真 photo by Ishiyama Shinji

――それは興味深いですね。W杯(1999年、2003年)の出場した7試合で、そういう感覚になったキックオフはありましたか。

大畑 なかったです(笑)。だから、全部、負けたのでしょうね。例えば、(2003年、後半途中まで接戦だった)フランス戦、正直、相手は強いなと感じながらやっていました。あの大会ではフランスが一番強かった。相手の余力みたいなものを感じていました。まだ、初戦のスコットランドのほうが、なんとかなるんちゃうかなと思っていました。
 僕が見るのはスクラムより、一発目のFWの攻防です。その時の顔って、すごいリアクションなんです。スクラムやラインアウトは準備しているから、表情を結構、ごまかすことができるんです。でも、キックオフは相手の力をまだ想定してないから、その瞬間に"イケるやん""ヤバい"って顔に出るんです。そういった意味で、FWが一番しんどそうな顔をしていたのは、(1999年W杯の)アルゼンチン戦です。これはハンパなくきつそうでした。あの時の経験からベースになるものがあれば、チームは崩れないと思った。だからこそ、今の日本代表の進む道は間違っていないんです。

――今年のW杯のポイントは2戦目のスコットランド戦です。勝負の分かれ目は?

大畑 もう我慢比べ。とくにスクラムは日本の生命線でしょう。スコットランドはオーソドックスなチームです。大きな穴があるわけじゃないし、ベースも上がってきているチームです。真正面からのぶつかり合いになるんじゃないですか。小細工なし、相撲でいえば"がっぷり四つ"みたいなものです。
(スコアは)読めません。取り合いになると厳しいと思う。まあ、取り合いにはならないでしょ。スコットランドはディフェンスもしっかりしているので、(キッカーを務める)ゴロー(五郎丸歩・ヤマハ)の存在がすごく大きくなるでしょう。どれだけしっかりとゲームを運び、点数をきっちり重ねていくのか。スコットランドに限らず、W杯に関してのカギはすべてゴローだと思います。最後尾を守らないといけないし、日本の一番の得点源だと思っています。あれだけの距離と精度のキック力を持っているキッカーは過去にもそう、いないでしょう。

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