2014.01.13

大学選手権。5連覇の帝京大を支える最強のラグビー文化

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu photo by AFLO SPORT

 ゴール前の帝京大の凄みは、何といったらよいか。赤いジャージの束が殺到し、これでもか、これでもか、となだれ込んでいく。

 第50回全国大学選手権の決勝である。早稲田大に5点差に詰め寄られたあとの後半30分だった。帝京大主将のCTB中村亮土(りょうと)が振り返る。

「あの場面、自分たちの力はここから出てくると思い、気持ちをひとつにしたのです」

 早稲田のハンドリングミスのボールを拾い、逆襲し、ゴール前にラックができた。そこからの連続攻撃は15フェーズ(局面)も続いた。赤いFWが次々とサイドを突いて、最後はフッカー坂手淳史がからだを反転させながらインゴールに飛び込んだ。

決勝で早稲田大に勝利して5連覇を達成した帝京大 試合終了直前、早大にトライを返されたが、41-34で押し切った。空前の大学選手権5連覇である。グラウンドのフィフティーンも、控えの部員たちも、スタンドを赤く染めた応援団も、そして岩出雅之監督も「最強の笑顔」を浮かべた。

 岩出監督が宙を舞う。「正直なところ、ホッとしている気持ちが大きかった」と笑う。この日のテーマが「最強の笑顔」だった。

「最強の笑顔は、最強のハートがあればこそ。ベースとして、この最高の舞台でプレーをできるみんなは幸せなんだと。学生はよく頑張った。今日の勝因はフォワード(FW)の頑張りです」

 とくにスクラムである。

 早大が今季自信をもってきたスクラム。それを揺さぶった。相手フロントローが3人とも4年生に対し、帝京大の3人は3年生ひとりと、2年生ふたり。

「成長の兆しを感じていた」という岩出監督は、前日のミーティングではスクラムについてだけ話をしたそうだ。

 なんといっても、8人でまとまる。同じ方向に一緒に押す。早大の3人を研究し、それぞれの特徴を押さえるため、右に左に押しを集中させるようにした。

 結果、早大ボールのスクラムの球出しを狂わせ、ひとつ目、ふたつ目のスクラムでボールを奪取した。3つ目のスクラムではコラプシングの反則をもぎとった。このPKをタッチに蹴り出し、トライに結びつけた。