2012.11.19

【ラグビー】代表候補選手も躍動。
「成長」にこだわる帝京大のワンランク上の強さ

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu
  • photo by AFLO SPORT

今年春には代表に招集された帝京大学の中村亮士 大学選手権4連覇への帝京大の航路は順風満帆のようだ。関東大学対抗戦の全勝対決。岩出雅之監督は今季初めて、意図的に選手の気持ちをたかぶらせた。

 試合前夜と当日朝のミーティングで檄を飛ばし、ロッカールームではこう言って、選手をグラウンドに送りだした。

「試合に出られない仲間の分までタックルしよう。タックル、タックル、タックルだ!」

 監督17年目、54歳の指揮官には頂上体験がある。人心掌握術に長けているだけでなく、どうすれば、チーム力が上がっていくかを熟知している。

 この試合がシーズン6試合目。大学選手権の決勝を見据えた場合、ちょうど折り返しとなる。だから、と監督は試合後、種明かしをしてくれた。

「ここで一度、力ましてゲームに臨ませました。最初から気持ちをフル回転する。力が入り過ぎる感じがあったけど、ゲームの中で学生が覚醒したんじゃないでしょうか」

 覚醒とは、試合のがんばりどころを指すのだろう。駆け引き、勝負勘。粘り強さである。

「ただ興奮させるだけじゃなく、しんどい時にがんばれよということなんです」

 帝京大には「成長」へのこだわりがある。監督がふっと目元を緩めた。

「学生が粘っこくなってきましたね」