【女子卓球】張本美和が追う中国ナンバー2の背中 ここまで全敗も「勝てる手応えがある」から差は詰まったのか (2ページ目)
10代にして数々の実績を積み重ねてきた脅威の高校生。ところが、世界選手権ドーハ大会は張本が密かにターゲットに据えていた王曼昱とのシングルス準々決勝でストレート負け。厳しい現実を突きつけられた。
「引き出しの多さをすごく感じましたね。最後まで打開策を見つけられず、とにかく強かったというのが一番の印象です」
ふたりのプレースタイルはよく似ている。身長166cmの張本に対し、王曼昱は176cm。10cmの差があるとはいえ、長い手足を生かした両ハンドのパワードライブが持ち味で、台から下がっても打ち合える男子並みのラリーが他の女子選手を圧倒する。
とりわけ、お互いの最大の武器は球威と精度の高いバックハンド。張本は「小さい頃から王曼昱選手のバックハンドをお手本にしていた」と言う。
そんな特別な存在に、少しずつ近づいてきた実感もある。
今年4月のワールドカップでは女子シングルス1回戦で王曼昱と対戦。先に2ゲームを奪った張本はゲームオールデュース(ゲームカウント3-4の最終ゲーム10-12)で惜敗したものの、初勝利まであと一歩のところまで王曼昱を追い詰めた。
実は昨年末、張本はパリ五輪団体で戦った中国の孫穎莎、陳夢(チェン・ムン)、王曼昱のなかで「勝てる手応えがあるとすれば王曼昱選手」と話していた。
それだけに、世界選手権ドーハでの完敗は堪えた。
「ワールドカップで競った分、相手の準備や考え方がまるで違っていたと感じました。何かすごい戦術を取ってきたというよりも、サーブ・レシーブやサーブからの3球目でコースを突くシンプルなプレー。でも、打球スピードが速くなっていてボールの回転量も多く、自分はリスクを冒さないと点が取れない。最後まで対応しきれませんでした」
張本の得点源であるバックハンドのストレート攻撃も、王曼昱の球威に押されて思うように決まらず、「技術も戦術もすべてにおいて足りなかった」と悔しそうに語った。
ふたりの対戦成績は2023年アジア競技大会の初対戦から数えて王曼昱の6戦全勝。ただ、結果以上に競り合った試合もあり、その差は確実に縮まっていると感じる。
中国の背中はいつだって追いつきそうになると遠ざかる。しかし、伸び代のある17歳の挑戦はまだ始まったばかりだ。
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