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五輪最終予選で得点王 一躍脚光を浴びたアイスホッケー女子日本代表・輪島夢叶「前日はヤバいくらい緊張した」 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao

【北京オリンピックよりいい成績を】

――活躍の秘密はあったのですか?

「昨シーズン、私のホッケーはガラッと変わったと思います。シュートへの意識が180度変わりました。今まで私のホッケーを見ていた人には全く違って映るんじゃないかな。シュートを打たないといけないところでパスを選択する選手だったのが、積極的にゴールを狙うようになりました」

――サッカーでも「シュートを打て」と周りは簡単に言いますが、「足を振る」ということ自体、難しいです。厳しい態勢だと躊躇することもあり......。

「おっしゃるとおりで、自分も"打っても入らない、打っても何にもならない"と思ってしまっていたんです。昨シーズンは夏から代表合宿の機会が多く、そこで結果として点数を決められたことが自信につながりました。変わり目だったんだと思います」

――前回の北京オリンピックの時は18歳で、手首のケガもあり出場を逃していた。その反骨心も今回は大きかったように思えます。

「それはめちゃくちゃありましたね。当時は、無理したら(オリンピックに)行けたのかもって思いもあり、悔しかった。でも、(右手首の手術した痕がまだ痛々しく残った箇所を、腕時計を外して見せながら)我慢すればプレーはできるけど、本領発揮はできない、中途半端な状態でした。だから、"しっかりリハビリをして完全復帰したうえで、4年後を目指そう"と気持ちを切り替えました」

――ミラノは約束されたひのき舞台ですね。スマイルジャパンはオリンピック初出場となった長野大会(1998年)を皮切りに、ソルトレイク(2002年)、ソチ(2014年)、平昌(2018年)と着実に力をつけて引き分け、初勝利などずっと右肩上がり。前回の北京大会は準々決勝進出、現在は世界ランキング7位で、ミラノに向けてはメダルを待望する声も多いですよね。輪島選手もさらに注目を浴びることになるでしょう。

「スマイルジャパンの全員が"北京オリンピックよりいい成績を"と思っているはずです。予選突破は確実にしないと。でも、そのためには(今年4月の)世界選手権の試合内容じゃダメですね(王者カナダに準々決勝で敗退)。スウェーデンに勝てずに2位通過で、1位で上がらないと(決勝トーナメントの組み合わせが)厳しかった。オリンピックでは"全員で勝つ"戦いを見せたい思います!」

(インタビュー前編を読む)

【Profile】輪島夢叶(わじま・ゆめか)
2002年10月19日生まれ。道路建設ペリグリン所属。北海道・苫小牧市出身。ポジションはフォワード。スティックはライト。
家族の影響でアイスホッケーを始め、2017年にはU18世界選手権 (チェコ)にチーム最年少で代表に選出された。駒大付属苫小牧高では、女子ホッケー部の一期生としてプレー。道路建設ペリグリン入団後の2022年から代表のトップディビジョンに選出され、今年2月、地元・苫小牧で行なわれた、ミラノ・コルティナ五輪出場権を争う世界最終予選グループGでは大会得点王(3戦5得点)の活躍。五輪出場権の獲得に大きく貢献した。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

【写真11枚】スマイルジャパンの新星・輪島夢叶

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