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近江佑璃夏、フルタイムで働く日本女子フラッグフットボールの第一人者 競技の魅力は「戦略があれば男子チームにも勝てる」

  • 永塚和志●text by Kaz Nagatsuka
  • 村上庄吾●photo by Murakami Shogo

会社員とアスリートの二刀流で五輪に向かう近江佑璃夏 photo by Murakami Shogo会社員とアスリートの二刀流で五輪に向かう近江佑璃夏 photo by Murakami Shogoこの記事に関連する写真を見る近江佑璃夏インタビュー(前編)

 2023年10月。2028年ロサンゼルス五輪の追加種目として5競技が承認されたことが発表された。そのなかのひとつがアメリカンフットボールから派生して誕生したフラッグフットボールだ。

 インドのムンバイで開催された国際オリンピック委員会(IOC)の総会をライブ中継で見守った(フラッグフットボール代表チームを管轄する)日本アメリカンフットボール協会の関係者や男女代表選手らは、発表の瞬間、歓喜の声をあげた。その輪の中に女子日本代表の近江佑璃夏がいた。

 近江はアメフト一家に生まれ育ち、現在は会社員としてフルタイムで働きながら女子チーム「Blue Roses(ブルーローゼス)」の代表を務めるなど第一人者として活躍している。今回は彼女自身の経歴、フラッグフットボールの魅力、そしてオリンピック決定の喜びなどを聞いた。

【フラッグフットボールとは?】

 非接触型のアメリカンフットボール(アメフト)と言われ、第2次世界大戦中に米軍で生まれたとされている。アメフトで相手を止めるために行なうタックルの代わりに、選手が腰につけたフラッグを取ることで相手の攻撃を止める。国際ルールでは1チーム5人で対戦し、試合時間は40分(前後半20分)。70×25ヤード(約64m×22.8m)のピッチで行なわれ、両サイドにある幅10ヤード(9.1m)のエンドゾーンにボールを運ぶとタッチダウン(6点)となる。4回の攻撃権が終わると攻守が入れ替わるのはアメフトと同じ。日本には1990年代後半から本格的に伝わり始め、現在は世界100カ国以上で約2000万人がプレーしているとされている。2022年のワールドゲームズ(米アラバマ州バーミンガム開催)で初採用され、日本女子は8チーム中5位だった。

【競技も、仕事も、全力で打ち込める環境】

――近江選手は、フルタイムの会社員として働きながらフラッグフットボールの競技に取り組んでいるとのことですが、活動の内容を教えていただけますか?

「一般企業でコンサルタント営業として週5日働いていて、フラッグの競技のほうでは2022年の9月に『ブルーローゼス』という自分のチームを立ち上げ、毎週土日に六郷(東京都大田区)にある多摩川の河川敷で練習をしています。平日も、仕事の後にトレーニングをしています。

 日本代表は毎回、大会ごとにトライアウトなどの選考期間があり、選抜されると大会へ向けた代表活動に参加します。今年の1月から3月は、8月にフィンランドである世界大会へ向けての選考期間で、活動は4月から始まります」

――SNSを拝見していると、お仕事のほうも相当忙しいのがわかります。

「営業なので、緊急対応などがある時は、遅い時間まで働くこともありますが、毎日そういうわけではありません。忙しい時には週5でそういう日が続くこともありますが、最近は上長とも相談しながら予算を達成できるように仕事を効率化して、今は頑張ってできるだけ定時に上がるようにしています」

――就職したのは2年ほど前ですが、仕事選びをする際にはフラッグフットボールの活動がしやすい会社を選んだ感じなのですか?

「フラッグを念頭に会社を選んだということはないのですが、ただ、東京には行きたいと思っていました。代表の活動拠点が基本、東京エリアなので、やっぱり地元の関西で就職して土日だけこっちに来て帰って仕事、というのはきついと思っていたので、関東で働ける会社を選びました」

――仕事とフラッグフットボールの両立は大変でしょうが、充実していますか?

「そうですね。(会社に)入って1年目の7月にワールドゲームズ(2022年、米アラバマ州・バーミンガム開催)があった時には、部長はじめ快く送り出していただきました。

 昨年のアジア・オセアニア選手権(マレーシア・クアラルンプール)の時も同じような雰囲気で理解していただいたので、仕事とフラッグと両立しやすい環境をいただいているとすごく感じています」

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著者プロフィール

  • 永塚和志

    永塚和志 (ながつか・かずし)

    スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社)があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社)等の取材構成にも関わっている。

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