早田ひなと張本智和が中国トップ3に勝つには...水谷隼が分析するポイントは「サービスと戦術」 (2ページ目)

  • 高樹ミナ●文 text by Takagi Mina
  • photo by 長田洋平/アフロスポーツ

【中国トップ3に勝つためにやるべきこと】

――本人も「使いたかった」と振り返っていましたが、台の反面でバック対バックのラリーが続いて、そこで先に展開を変えるのが難しかったようです。

水谷 チャレンジャーとして、もっと思いきっていくべきだったんじゃないかなと。例えば、サービスを出して相手のレシーブが8割以上バック側に来ていたので、3球目で回り込んでフォアハンドで打てば、ほぼ得点になったはずです。それをバックハンドで打つからラリーになる。ラリーになると互角になることが多いので、そこはよくなかったように思います。

――サービスの配球はいかがでしたか?

水谷 サービスを出すコースも、フォア前とバックへのロングサービスが99パーセントだった。それは相手からしたら待ちやすいんですよ。そこにしか来ないし、回転も一緒だから。それでも、ある程度サービスが効いて、あまりいいレシーブが返ってこなかったのは早田選手のサービスの質が高いからです。

 そう考えると、「コースや回転をもっと変えれば、もっとサービスからも得点できたのに」と、もったいない気がしました。フォア前のサービスはけっこう効くし、攻めやすいパターンなので、それに頼ってしまう傾向があるのかもしれません。

――王芸迪選手には勝ちましたが、「まだ上がいる(孫穎莎<スン・インシャ>、陳夢<チェン・ムン>、王曼昱<ワン・マンユ>)という現実を突きつけられた」という早田選手の言葉がとても印象的でした。

水谷 準決勝で対戦した孫穎莎選手は全然レベルが違うので、そことの距離はまだまだあると感じました。世界選手権で中国人選手に勝つのはすごく大変なことですから、その壁をひとつ越えたのは大きい。でも、やはり上の3人に勝つにはもっとリスクを負ったプレーだとか、サービスの配球を変えていかないといけないと思います。同じ戦い方をしていても、ずっと同じように負けるだけです。

――孫穎莎選手は本当に強くて隙がないですね。

水谷 彼女は伸び伸びプレーするんですよ。どんな場面でも守りに入らないし、メンタルを崩すことができない。真っ向勝負で上回らないと、孫穎莎選手に勝つのは厳しいと思います。サービスもいろんなところに出してきたりとか、試合の途中で早田選手の弱点を見つけて突いていく戦術の転換もうまい。余裕がある選手って、試合の中でいろんな発見をして、どんどん相手の苦手なところを攻めていけるんです。

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