Tリーグ松下チェアマン、2年目の構想。「今はまだベンチャー企業」 (2ページ目)

  • 栗田シメイ●文 text by Kurita Shimei
  • 木鋪虎雄●写真 photo by Kishiku Torao

――リーグ参戦の条件として、各チーム6歳以下の育成機関を3年以内に設けるという制度がありましたが、進捗はいかがでしょうか?

「T.T彩たまが3歳の子供に中国人コーチをつけて、既に6歳以下の育成機関をスタートしています。これらは坂本竜介監督を含め、チームの運営スタッフの協力がなければ成り立ちません。私達Tリーグは卓球レベルの向上を目的にしており、打倒中国を掲げている。そのためには、幼少期から適切なトレーニングを受ける環境づくりは急務でした。この仕組み自体は中国を含め、世界の強豪国で取り入れられており、特別なことではありません。

 日本でもエリートアカデミーのような制度はありますが、強化の側面から考えるとリーグとして取り組む必要性があった。他のチームに関しても、すでに動き始めていると報告を受けています」

――年齢を6歳以下に絞っているというのは、何か理由があるのでしょうか?

「これまで日本の卓球のトップアスリートは、特殊な環境下で育ってきたという背景があります。福原愛、伊藤美誠、平野美宇、張本智和も含め、いずれも親御さんが熱心に卓球を幼少期から指導してきた結果、あれだけの選手に成長しています。もっともこれは卓球に限らずに、日本のスポーツ界全体にも言えることだと思います。それほど日本のアスリートは保護者の影響を強く受けてきた。

 ただ、そういった指導を受けられる選手はごく一部です。その意味でも、リーグとして選手の才能を伸ばすための環境づくりをサポートする必要性を感じていました。6歳以下に絞ったのは、世界のトップまで届く選手達は、それくらいの年齢からすでにハードなトレーニングを積んでいるというのが理由です」

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