女子ホッケー「さくらジャパン」の2人が、オランダリーグで戦う理由

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

ホッケー女子オランダ奮戦記@前編

「さくらジャパン」のDF陣を統率する及川栞「さくらジャパン」のDF陣を統率する及川栞 10月8日のことだった。MF永井葉月(ながい・はづき)が左45度の位置からスティックを一閃(いっせん)すると、シュートは相手GKの肩口を抜いてゴールネットに突き刺さった。スタジアムにゴールジングルの『ゾンビ・ネイション』が響くなか、彼女はチームメイトから祝福を受けた。

「オランダでやったった!」

 やってやったぞ――と、永井は思ったという。これが彼女にとって、オランダでの初ゴールだったのだ。

 一方のDF及川栞(おいかわ・しほり)は、ガッツ溢れる身体を張った守備とクレバーなインターセプトが光っていた。頭からルーズボールに突っ込んで、人工芝に身体を強く打ちつけても、「イテッ」とつぶやいてからスクッと立ち上がり、平然とプレーを続けた。

 結果、攻守にわたって日本人選手ふたりが機能し、オランイェ・ロートが3-0でブルーメンダールを下した。

 及川と永井はアイントホーフェンの町で共同生活をしながら、ホッケーの武者修行に日々励んでいる。

 オランダという国は、ホッケーのステータスがとても高い。高速道路の脇には時計を宣伝するファティマ・モレイラ・デ・メロ(元スター選手、引退して現在はマルチタレント)の巨大看板が立っている。ヨハン・クライフ・アレーナ(アヤックスの本拠地)にサッカーの試合を観戦しに行くと、VIP待遇のナオミ・ファン・アス(2016年の世界最優秀選手)を見かけることもある。

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