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NBA伝説の名選手:ロバート・オーリー 勝つために自らを犠牲にしてジョーダン、コービーを上回る7度のNBA優勝を果たした「名脇役」 (3ページ目)

  • 秋山裕之●文 text by Akiyama Hiroyuki

【勝利のために自己犠牲を払ったベストプレーヤー】

オーリーは2007年にスパーズで自身7度目の優勝を経験 photo by Getty Imagesオーリーは2007年にスパーズで自身7度目の優勝を経験 photo by Getty Images 2007-08シーズンを最後に引退したオーリーは、1年目を除けば個人賞やスタッツリ―ダーに立ったことは皆無。ただ、ふたつのフォワードポジション、時にはセンターもこなした男は1995-96シーズンにNBA史上初の1シーズン100スティール、100ブロック、フリースロー成功数100本以上をクリアした選手となり、キャリア16シーズンすべてでプレーオフに出場した。通算プレーオフ出場244試合はNBA歴代4位で、ファイナルでも通算3ポイント成功56本で同6位、通算49スティールで同11位と上位にランクインしている。

 そんなオーリーへ、昨年12月に2025年のバスケットボール殿堂入り候補に初ノミネートという朗報が届いた。今年2月に発表された最終候補にこそ落選したが、いつの日か殿堂入りを飾るためのスタートラインに立てたことは間違いない。

 現在オーリーはレイカーズの地元メディア『Spectrum Sports』で古巣のコメンテーターを務め、今年3月末には中国の上海にあるNBAオフィスやNBAストアを訪問して笑顔を振りまいた。

 7度のリーグ制覇を達成し、数々のクラッチショットを沈めてきた"名脇役"は自身のキャリアをこう総括していた。

「私はチームが勝利するために自らを犠牲にしたベストプレーヤーだったと、子どもたちにいつも話している。勝つため、勝者となるべく自分のゲームをどのようにして犠牲にするかを多くの選手たちはわかっていない」

 もともと豪快なダンクを軽々と叩き込めるほどの高い身体能力の持ち主だった男は、チームの要望に応えてプレースタイルを微調整しながら攻守両面で貢献できる選手へ進化してきた。NBAで7度も頂点に立ったのだから、"勝利のために自らを犠牲にしたベストプレーヤー"と名乗ることに、異論を唱える者はいないだろう。

【Profile】ロバート・オーリー(Robert Horry)/1970年8月25日生まれ、アメリカ・アラバマ州出身。1992年NBAドラフト1巡目11位。
●NBA所属歴:ヒューストン・ロケッツ(1992-93〜1995-96)―フェニックス・サンズ(1996-97)―ロサンゼルス・レイカーズ(1996-97途〜2002-03)―サンアントニオ・スパーズ(2003-04〜2007-08)
●NBA王座7回:1994、1995、2000〜2002、2005、2007年

*所属歴以外のシーズン表記は後年(1979-80=1980)

著者プロフィール

  • 秋山裕之

    秋山裕之 (あきやま・ひろゆき)

    フリーランスライター。東京都出身。NBA好きが高じて飲食業界から出版業界へ転職。その後バスケットボール雑誌の編集を経てフリーランスに転身し、現在は主にNBAのライターとして『バスケットボールキング』、『THE DIGEST』、『ダンクシュート』、『月刊バスケットボール』などへ寄稿している。

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