河村勇輝があらためて感じた短期間での適応力の必要性 夏の日本代表活動にも応用すべき思考の巡らせ方 (3ページ目)
【「アジャストメントの経験を生かして夏の代表活動にも」】
シーズン終盤でのコーチ交代や、シーズン途中のトレードでの選手入れ替え。日本ではなかったことばかりだ。この1シーズン、NBAやGリーグにいたからこそ経験できたことはいろいろあるが、こういった変化があったときに短期間での適応を求められることも、そのひとつだった。
Gリーグはもちろん、NBAでも、長い期間、同じメンバーで繰り返し練習し、熟成させてチームを作り上げるような理想的な状況は滅多にない。だからこそ、適応力が重要になる。そのことも、今シーズンに成長できたと感じているひとつだと河村は言う。
「チームの状況もありますし、コーチに求められていることも試合によってまったく変わってきます。そういった意味では、アジャストする能力っていうのは、この1シーズンですごく成長できたんじゃないかなと思います。
そうやってアジャストするためには、幅広く何でもできるようにならないといけないと思っていますし、すべてにおいて質を高くできないと、Readyにして(準備を整えて)おかないと、アジャストメントは難しくなるんじゃないかなと思うんで。今年の夏は、そこの質をより高められるように、ワークアウトや体づくりに励んでいければいいなと思っています」
今後、夏には、さらに短期間での適応力が磨かれ、試されることが待っている。
ひとつはNBAのサマーリーグ。もうひとつは日本代表でのアジアカップ出場。河村はこの夏、その両方をやりたいと明言している。サマーリーグは、レギュラーシーズン以上に短期間でチームに求められていることを発揮し、見せなくてはいけない場。そして、サマーリーグに出るということは、日本代表の合宿には途中からの参加になるということ。どちらも、高いレベルでの適応力を求められる。
「サマーリーグに出たいっていう気持ちがあったり、NBAでプレーしたいのであれば(日本代表の)夏の合宿に最初から合流することは難しいかなと思っています。ただ、こういったGリーグやNBAでのアジャストメントの経験を生かして、それを代表(活動)にもつなげていければいいなと思っています」
アメリカ1年目、新しい環境で毎日チャレンジし続け、成長してきた河村。チャレンジの日々は、シーズンが終わってからも続く。
著者プロフィール
宮地陽子 (みやじ・ようこ)
スポーツライター。東京都出身。アメリカを拠点にNBA取材歴30年余。アメリカで活動する日本人選手やバスケットボール国際大会も取材。著書に『The Man〜 マイケル・ジョーダン・ストーリー完結編』(日本文化出版)、編書に田臥勇太著『Never Too Late 今からでも遅くない』(日本文化出版)、2023年1月発売の共著に『スラムダンク奨学生インタビュー その先の世界へ』(集英社)。
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