河村勇輝があらためて感じた短期間での適応力の必要性 夏の日本代表活動にも応用すべき思考の巡らせ方 (2ページ目)
【ビーコルとの縁と予想される攻撃システムの変更】
今シーズンの河村に大きな影響を与えたジェンキンズ前HC photo by Getty Images
一方、ジェンキンズ解任後、暫定HCに昇格したトゥオマス・イーザロは、古巣、横浜ビー・コルセアーズの現HC、ラッシ・トゥオビと同じフィンランド出身。そんな縁もあり、去年秋、グリズリーズに入った直後から言葉を交わしていた。
「すごくいい人です。フィンランドの方で、メンフィスに入ったときはラッシHCの話題で盛り上がりました。去年(グリズリーズに加わる前には)、ユーロカップ(ユーロリーグの下部的な大会)のパリ(パリス・バスケットボール)でヘッドコーチされていたと聞いています。(気持ちを)切り替えないといけないですけど、彼がコーチしたときにどういったバスケットになるのかというのは、純粋に楽しみです」
今季のグリズリーズのオフェンスシステムはイーザロと、別の育成担当アシスタントコーチ(AC)、ノア・ラローシェのアイディアを軸に組み立てられたものだった。ただ、ハーフコートではヨーロッパでピック&ロール(*)を多く用いていたイーザロのシステムとは違い、オンボールの(ボールを保持する選手に対してセットする)スクリーンはあまり行なわず、パスとカット、オフボールの動きを活かしたラローシェのオフェンスだったため、ピック&ロールを得意とする河村にとっては、そのこともチャレンジのひとつだった。ジェンキンズの解任とほぼ同時にラローシェも解任されていることから、今後、グリズリーズはピック&ロールをより多く用いるのではないかとも言われている。
(*)ボールを保持する選手の自由度を増すために、味方の一人が壁となりボール保持選手をマークする選手の動きを遅らせることから展開する基本的な攻撃方法
「レギュラーシーズン最後の2週間になって大幅にスタイルを変えるっていうのはリスクもあると思うんで、どうなるかは正直読めませんけど、仮にピック&ロールを主体とするようになるのであれば、これまでピック&ロールを強みにしてきた自分にとってはいいことだと思います」と河村。
正直なところ、レギュラーシーズンの最後まで激しい順位争いが続きそうなグリズリーズにおいて、河村に出場機会が与えられるとはあまり思えないが、それでも、このコーチ交代は、グリズリーズが河村に来季の契約をオファーするかどうかにも影響があるかもしれない。
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