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ひとり親家庭で育ち、バスケ、勉強に全力を注いで日本一に FE名古屋・内尾聡理が紡いだ家族の絆と茨の道 (3ページ目)

  • text by Sportiva

【黄金世代の一員として全国制覇】

 当時の福岡第一は、今以上に高校バスケ界で栄華を誇っていた。同級生には河村勇輝(NBAメンフィス・グリズリーズ)、小川麻斗(B1千葉ジェッツ)、クベマ・ジョセフ・スティーブ(B3東京八王子ビートレインズ)、神田壮一郎(B1ファイティングイーグルス名古屋)らがおり、2年時にウインターカップを制覇していた。「高校2年生までは試合でベンチにも入れなくて、それまでそういう経験がなかったので、気持ち的にもつらかった」と内尾は胸の内を語る。

 3年時にようやくそのメンバーに食いこむことができたが、そこからさらに厳しい日々が続いた。

「先生に一番怒られていたと思います。すごく毎日怒られて、でも次の日も休むわけにはいかないので、また練習に行ってまた怒られる。もう寝るのが嫌でした。目を開けると朝なので、また1日が始まる。でも、(夜になれば)寝ないといけない。毎日怒られていると自分ってダメなんだと思ってしまって、本当につらかったです」

 それでも内尾はがむしゃらに練習についていった。今ではこのつらかった日々を「ありがたかった」と言えるほど、この時期に精神的にも技術的にもレベルアップできたという。その苦労が3年時に結果となって表れた。内尾は、エースキラーとして重要なタスクを担い、インターハイ、国体、ウインターカップの三冠を達成。チームは「黄金世代」と称賛された。

 その三冠を達成したウインターカップには母親と姉が駆けつけていた。内尾を支え続けてきた母親は、優勝の瞬間に涙を流していたという。家族3人で会うのは本当に久しぶりのことだった。

「母も姉もすごく喜んでくれました。そこで家族の仲がさらに深まったかなという感じはありました。すごくよかったと思います」

 内尾はそう語って笑顔を見せた。

後編に続く>>

【Profile】
内尾聡理(うちお・そうり)
2001年4月12日生まれ、福岡県出身。184cm、81kg。PG/SG。小学1年のときに小倉ミニバスケットボールクラブに加入すると、徐々に才能を発揮。中学3年時にはU-16日本代表に招集される。高校は名門・福岡第一に進学し、3年時にインターハイ、国体、ウインターカップの三冠を達成する。中央大学ではキャプテンとして活躍。大学4年時に千葉ジェッツに特別指定選手として加入。2024年6月にファイティングイーグルス名古屋に移籍した。姉は富士通レッドウェーブ所属の内尾聡菜(うちお・あきな)。

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