八村塁の衝撃発言で揺らぐバスケ日本代表の未来 ホーバスHCの求心力はいかに? (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka

【八村と協会の関係はもはや壊滅的】

 ただ、気がかりなこともある。

 八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ/SF)がNBAでの試合後の会見で、日本協会は代表の強化よりも収益を上げることばかり考えている、ホーバスHCは男子プロレベルで指導経験が乏しくて指導法も世界基準ではない、と批判し、日本バスケットボール界を騒然とさせている一件だ。

 これに関して、バスケットボールファンの意見は割れているように見受けられる。八村が代表監督に対して公然と批判したことは、日本のバスケットボール史においてあまりに異例だ。

 どのような経緯で八村が批判に至ったのか、いまもって判然としない。昨年のワールドカップに八村が参加しなかったのはFAとなるタイミングで立場を確立するためにそちらを優先したとされたが、実際はそうではなく、あるいはホーバスHCのチームでのプレーに消極的だったのか(ホーバスHCの指導を受けてみて「世界レベルの指導者ではない」といった趣旨の発言をしているため、パリ五輪前から代表に参加して思いを強くしたのかもしれないが)。

 いずれにしても、両サイドの溝がここまで深くなる手前で間をうまく取り持てていなかった日本協会に非があると言わざるを得ない。モンゴル戦の前日には宇都宮の会場で日本協会の渡邊信治事務総長がメディアの囲み取材に応じ、協会が八村の代理人サイドとオンラインで話し合いを持ち、コミュニケーション不足が今回の発言につながったと話した。

 しかし八村は、現状の協会の体制──つまりホーバスHC指揮下の代表チームではプレーすることはない、とまで口にした。もはや、日本協会およびホーバスHCサイドと八村の関係性は後戻りできないほど、壊滅的なものとなってしまった。

 日本協会はホーバス氏を「多くの選手たち、それからバスケットボールの関係者もリスペクトする世界的なレベルのコーチ」と述べ、変わらず支持している。しかし、八村の一連の発言によってホーバスHCがこれまでと同様の求心力を保てるのだろうか、という懸念は抱いてしまう。

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