八村塁の衝撃発言で揺らぐバスケ日本代表の未来 ホーバスHCの求心力はいかに? (2ページ目)
【次のステップは五輪出場国の撃破】
しかし、どのタイミングで中に切れ込むかは、チーム練習の積み重ねから培われる「阿吽の呼吸」が必要だ。モンゴル戦やグアム戦を見ても、以前から代表でプレーしている選手たちのカッティングやパスを送るタイミングは体に染みついていたが、代表経験の少ない選手たちは思いきった動きができていないように見受けられた。
パリ五輪での日本のカッティングについて、ホーバスHCは「悪くなかった」と語った一方で、得点を奪う最後のレイアップでミスが多かったとも振り返っている。日本は切り込むことはできても、その後のシュートで得点することに苦慮しているようだった。
ビッグマンながらカッティングを得意とする渡邉飛勇(信州ブレイブウォリアーズ/C)は、五輪出場レベルの国に対してカッティングを使って得点を決めるのは「まったく容易ではない」と、首を横に振りながら言う。
「(五輪直前に対戦した)セルビアは特にそうだったし、フランスやドイツもそう。彼らはディフェンスのローテーションが非常によく、かつ選手たちも大きい。だからカッティングでリングまで迫ったとしても、そこから相手のビッグマンを交わしながら、そのまま片足でシュートにいくのか、アリウープにいくのか、カイリー・アービング(ダラス・マーベリックス/PG)のようにダブルフェイクをするのか、自身の強みを意識しながら得点にいかねばならないんだ」
富樫勇樹(千葉ジェッツ/PG)などはたびたび、日本のいる「アジア」と欧米などの「世界」はレベルが別世界であると言いきっている。しかし、2019年のワールドカップからパリ五輪まで4度連続で世界大会に出場し、着実に成長を遂げてきた日本にとって、次なるステップは上記のようなチームを撃破することだ。日本は今後、これまで以上に「対世界」を想定しながら取り組んでいく必要がある。
まずは選手を探し、日本のスタンダードを上げることに時間を要した「1期目」とは異なり、ホーバスHCの「2期目」はすでにバスケットボールスタイルが浸透している。世界のトップクラス打破のために進んでいくべき道は、以前ほどおぼろげなものではなくなった。それだけに次の3年、4年は、パリ五輪までの3年間とはまったく違った成長速度を見せるはずだ。
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