NBA伝説の名選手:アイザイア・トーマス「あくなき"バッドボーイ"の闘争心で"3人のレジェンド"をプレーオフで倒した唯一の勝者」 (3ページ目)

  • 青木 崇●文 text by Aoki Takashi

【3人のレジェンドをプレーオフで唯一倒した男】

 トーマスは13年連続でオールスターに選出されるなど間違いなくNBAのスーパースターだったが、時にラフすぎるフィジカルプレーや挑発的なコメントも含め、親友だったジョンソンとの関係は悪化。他のスーパースターたちもトーマスと一緒にプレーしたくないという理由で、トーマスは、1992年のバルセロナ五輪で金メダルを獲得した『ドリームチーム』のメンバーに選ばれなかった。

 天使と思えるような笑顔を見せるかと思えば、勝つために手段を選ばないというメンタリティを持っていたトーマス。身長185cmと決して体格に恵まれたわけではないが、バード、ジョンソン、ジョーダンという3人の「レジェンド」をプレーオフで倒した唯一のスーパースターとして、NBAの歴史に名を刻んだのは間違いない。2連覇を成し遂げたあと、トーマスはこんな言葉を残している。

「私について何を言っても構わないけど、私が勝者じゃないと言うことは誰にもできない」

 現役引退後、トーマスはトロント・ラプターズの副社長、インディアナ・ペイサーズやニューヨーク・ニックス、フロリダ・インターナショナル大のヘッドコーチを務めてきたが、2012年以降はNBATVのアナリストとして活躍。2013年にはカリフォルニア大バークリー校で教育の修士号を取得し、アイザイア・インターナショナルという会社を経営する実業家でもある。

【Profile】アイザイア・トーマス(Isiah Thomas)/1961年4月30日、アメリカ・イリノイ州生まれ。インディアナ大出身。1981年NBAドラフト1巡目2位指名。
●NBA所属歴:デトロイト・ピストンズ(1981-82〜93-94)
●NBA王座:2回(1989、90)/ファイナルMVP1回(1990)/オールNBAファーストチーム3回(1984〜86)/オールスターMVP2回(1984、86)
●主なスタッツリーダー:アシスト王1回(1985)
*所属歴以外のシーズン表記は後年(1979-80=1980)

著者プロフィール

  • 青木 崇

    青木 崇 (あおき・たかし)

    1968年群馬県前橋市生まれ。1992年から月刊バスケットボールとHOOP誌の編集者を務めた後、1998年に独立して渡米。アメリカ・ミシガン州を拠点にNBA、NCAA、数々のFIBA国際大会を取材。2011年から拠点を日本に戻して活動を続け、Bリーグの試合で解説者も務めている。

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