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NBA伝説の名選手:カーメロ・アンソニー「天性の得点感覚を持つ21世紀のNBAを代表するピュアスコアラー」 (2ページ目)

  • 秋山裕之●文 text by Akiyama Hiroyuki

【ニックス移籍後も真骨頂発揮するも......】

 ただ、NBAファイナルの一歩手前まで駒を進めたチームは、戦力維持できずにその後、弱体化。カーメロとの再契約にも暗雲が立ち込め、2010-11シーズンにはその去就を巡るニュースから‟メロドラマ"という造語が生まれた。結局、2011年2月22日に3チーム間の大型トレードでカーメロはニューヨーク・ニックスへ移籍。NBAキャリア第2章へと進んだ。

 生まれ故郷に本拠地を置くニックスへ移籍したカーメロは、約7シーズンの在籍で平均24.7得点に7.0リバウンド、3.2アシストとスタッツとしては全盛時を迎える。12-13シーズンにはリーグ得点王に輝き、2014年1月24日のシャーロット・ボブキャッツ(現ホーネッツ)戦ではキャリアハイの62得点をマークした。

 プレーオフでもナゲッツ在籍時の2010年、ニックス時代の2011年にいずれも自己最多42得点を奪い、スコアラーとしての能力を存分に発揮。しかし、ニックスは2013年を最後にプレーオフから脱落し、30代に突入したカーメロもトレードによってキャリアの転換期を迎える。

 2017-18シーズンはオクラホマシティ・サンダーでラッセル・ウェストブルック(現ロサンゼルス・クリッパーズ)、ポール・ジョージ(現フィラデルフィア・76ers)に次ぐ3番手、翌2018-19シーズンに所属したヒューストン・ロケッツでは開幕からわずか10試合でローテーションから外れ、2019年1月のトレードでシカゴ・ブルズへ移籍後にウェイブ(保有権放棄)されることになる。

 ナゲッツ、ニックス時代の1番手から3番手のスコアラーへ降格し、サンダーとロケッツでは求められた"シューター役"へのアジャストに苦戦した稀代のスコアラーは、キャリア終焉の危機に陥っていたのだが、2019年11月に事態が好転する。

 ポートランド・トレイルブレイザーズは"スコアラー"としてのカーメロを求めて契約。デイミアン・リラード(現ミルウォーキー・バックス)、CJ・マッカラム(現ニューオーリンズ・ペリカンズ)とともに得点源の一角となって2019-20シーズンに見事復活を遂げる。

 翌2020-21シーズンはブレイザーズでシックスマン(試合途中でベンチから出場する役割の選手)をこなし、2021-22シーズンにはレイカーズでドラフト同期のレブロンとプレー。2022-23シーズンはヨーロッパでトップレベルの複数クラブが関心を示すも、NBAでプレーを続けることにこだわり続けた男は海外へ活動の拠点を移すことなく、2023年5月に現役引退を決断した。

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