バスケ日本代表、W杯での成否のカギは? 富永啓生が体現するチームのスタイル (4ページ目)
【2年前とは違うと語る馬場】
そして、右足の故障でフランス戦とスロベニア戦を欠場した渡邊雄太(SF/フェニックス・サンズ)。彼が復帰すれば、もちろん攻守において強力な戦力が帰ってくることになる。
ただ、ドイツ、フィンランド、オーストラリアという格上の国に勝つことが、難しいことは変わりない。ここに記したようなことがすべて最大限に発揮されて、初めて彼らと戦えるといった状況だ。
フランス戦やスロベニア戦では、試合序盤から強度の高いプレーで戦わねばならないため、後半は体力を削られて失速してしまった。ここは大会本番でも大きな課題となってくるだろう。それでも、フランスやスロベニアに対して、日本は「やれた」とポジティブな手応えを感じている。
「今までやってきたバスケが間違いないと自信になりました。バスケのスタンダードをもっと突き詰めていけば、もっといいバスケができる。そこは揺るぎなく、ステップアップできていると思います」
吉井は力強い言葉を残した。
2年前の東京オリンピックで、日本はスロベニアを相手にまったく同じ35点差(103-68)で敗れた。だが、馬場雄大(SG)はケレン味のない口調でこう述べている。
「ディフェンス面では個人的にオリンピックの時よりいい感じでやれたのと、(オフェンスも)シュートが入っていれば違う形になる。日本バスケは前進していると思います。あの試合と比べて成長してきている」
ホーバスHCは採用したスタイルとチームメイトを信じて戦うことが何よりも大切であると繰り返し話してきた。この大会でアジア1位となり、来夏のパリオリンピックへの切符を勝ち取ることが「アカツキジャパン」の目標だ。
時は来た──。パリへとつながる、長い旅路がいよいよ始まる。
著者プロフィール
永塚和志 (ながつか・かずし)
スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。
Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、 2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。 他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験 もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社) があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・ 篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社) 等の取材構成にも関わっている。
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