馬場雄大がNBAに入るためには「3Pがうまくならないと」。厳しい意見をあえて言うホーバスHCの親心 (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by Jiji Photo

河村が語る「馬場加入の効果」

 言うは易く、行なうは難し。これがなかなかできない。だが、馬場はそうした心持ちの獲得に手応えを感じているようだ。

 一方で、馬場は3Pだけで日本代表に貢献するわけではない。

 彼の魅力はスピードとアジリティを生かしたオールラウンドさにある。ディフェンスリバウンドに人数をかける必要もあって、馬場加入以前の日本はなかなか速攻を出せずにいたが、彼が加わってからは攻めのスピード感がアップした。

 イランとの強化試合の2試合目が印象的だった。この試合の第1クォーター終盤、馬場は河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)からのパスによって、2本連続で速攻からの得点を決めている。2本目のほうは、バックコートの河村がはるか前方を行く馬場を認め、長く強いパスからによるレイアップだった。

 先頭を走る馬場を追う相手ディフェンダーがいたにもかかわらず、躊躇なくパスをしたことについて、試合後の河村は「馬場選手なら(身体)能力もありますし、相手選手よりも飛べるという感覚があるので、思いきって投げても大丈夫かなという気持ちで投げました」と語っている。馬場加入の効果を示す例と言えるだろう。

 ホーバスHCは、オフェンスでは3Pとドライブインからのペイントアタックを重視し、ディフェンスはしつこく前から守ることで相手のターンオーバーを誘発し速攻につなげる......といったことをスタイルの根幹としている。馬場がそこで相当にフィットしていることが、今回の実践で証明された形となった。

 引き続きNBA入りを目指す馬場の次の代表活動参加は、現状では不透明だ。しかし、7月のアジアカップでホーバスJAPAN初参加となった渡邊雄太と同様、ワールドカップ本大会の前に一度、今の日本代表のバスケを経験しておくことは意味のあることだったはずだ。

 目標であるNBA入りのために、この3年、NBA GリーグやオーストラリアのNBL、NBAサマーリーグと、さまざまな場所で経験を積んできた。今回、ホーバスHC指揮下の代表でのそれも加わったことも、馬場にとっては大きく、NBAへ行くという点でも新たな「気づき」があったに違いない。

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