男子バスケ日本代表で「想像以上」の成長を遂げた3人。八村塁や渡邊雄太を入れてどこまでレベルアップできるか

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

 井上宗一郎は2mのサイズから放たれる柔らかいタッチの3ポイントが武器。福岡大学附属大濠高時代はセンターだったが、筑波大では習得した3ポイントをたびたび放つようになっていた。ホーバスHCは、ディフェンスを外におびき出して攻撃のスペースを広げることのできるパワーフォワード、いわば「ストレッチ4を探している」と発言していたが、そのポジションに当てはまったのが井上だった。8月30日のカザフスタン戦では、後半の拮抗した場面から井上の連続3ポイントで流れを呼び寄せた。
 
 2mのサイズと非凡なシュートタッチを評価されてディベロップメントキャンプに招集された井上だが、昨シーズンはチームで平均出場時間が5.9分しかない控え選手。キャンプが始まった当初、ホーバスHCから「どういう選手か知らないから、どんどんアピールしてほしい」と言われたという。この一言で井上は発奮した。

「もともと日本代表にはすごく入りたかったので、トムさんの会見や記事を読んで情報収集をしていたんです。そこで『ストレッチ4のビッグマンを探している』という記事を読んだので、それなら自分の力を発揮できると思い、3ポイントにフォーカスしてアピールしました。ここでチャレンジしなかったら、日本代表に入るチャンスはないと思ったんです」

 河村勇輝はこの夏、富樫勇樹(千葉ジェッツ)に次ぐ2番手ガードの座をつかんだ。ベンチから出て流れをガラリと変える『ゲームチェンジャー』として存在感を示せたのは、コンタクトに強いディフェンス力と広い視野からのパスによる展開ができるからだ。今年3月、「パリ五輪を目指す」という強い意志のもと、東海大を中退してプロに転向したことが正解だと言わんばかりの近道を歩んでいる。

 ただ、ホーバスHCからはシュートを狙わないことを再三指摘され、イランとの強化試合では「ルイマチダ(町田瑠唯)っぽい」と言われた。これは誉め言葉ではない。町田は東京五輪でアシスト記録を作るほどのゲームメイクを誇るが、3ポイントを打たないことを指摘され続けてきた。そんなところも町田に似ていると言いたいのだ。

 町田が3ポイントを打たなければディフェンスは下がり、そこから攻めあぐんでチャンスがつぶれてしまう。町田はその課題をペイントアタックからのキックアウトに見出したが、ホーバスHCは「経験がある町田でもシュートを打たないことで構想外になった時もあった」と東京五輪後に明かしている。それほど、一瞬でも前が空いたら打ち続けてチャンスをつかまなければ強豪相手には対抗できない。河村はその課題を理解したうえで、こう意気込んでいる。

「この夏は6月のディベロップメントキャンプから誰よりもトムさんのバスケを長く学んできたので、怖気づかないでプレーできるようになりました。Bリーグでも自分の役割と他の選手の役割を生かせるようにプレーしていきたい。もちろんシュートも頑張ります」

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