Bリーグ・ポストシーズンで注目したい3人の若き才能たち。大ケガからの復活、「関西人」、悪魔の左手... (4ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

 それでもこの試合後、吉井は「オフェンスではもう少ししっかりと攻めきれるところを攻めきれませんでした」と反省の弁を述べた。その意識の高さは自身への期待の高さの表れであるだろうし、周囲に頼もしさを感じさせもする。

 今週末から始まるCSは、吉井にとって初めてのポストシーズンとなる。出番は必ず訪れるはずだ。プレーオフで得ることは、レギュラーシーズンよりもさらに大きなものとなる。この舞台はリーグを代表するスモールフォワードになるための第一歩となるだろう。

★荒谷裕秀(あらや・ひろひで/宇都宮ブレックス No.11)
スモールフォワード
1998年12月5日生まれ、宮城県出身(23歳)
東北高校→白鷗大学/189cm、86kg

 宮城県出身で「中学までは負けてばかりだった」という男は、白鷗大学に入るまでほとんど無名の存在だった。だが、同大で頭角を現し、リーグ屈指の強豪でもがき、研鑽を積んできた。


 荒谷裕秀は強靭な下半身を生かしたドライブとフィニッシュの強さをあわせ持つ。身長189cmはスモールフォワード登録されるが、プロでは小さい。そのため3Pを含めたシュートの技量の向上にも努めているが、もとからの才能の豊かさからか、そのタッチは柔らかい。

 特別指定選手としてシーズン途中からプレーしたプロ1年目の昨季は、8試合の出場でコートに立つ時間も3分ほどと限られた。だが、攻守で決まりごとの多いブレックスで揉まれるなか、徐々に力量を増して信頼を得てきた成果は今季着実に出ている。

 前年と比べて平均得点は1.4から3.2へ、3P成功率も33.3%から36.7%へと数字を上げている。先発出場も2試合任された。同アシストも0.4から0.8へとアップしているが、左手から放たれるパスも秀逸で、ノールックで決める場面もあった。とりわけアップテンポな展開で彼がボールを運ぶ際には、目を離せない。

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