「理想の上司」トム・ホーバスHCが説く男子バスケ日本代表のやるべきスタイル。「強くなるための魔法はない」 (2ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

 仙台での中国戦は連敗してしまいましたが、それでも事前合宿での出来には非常に満足しています。疲れを見せずに不満ひとつこぼさずやってくれましたから、意義のある期間だったと思っています」

【8日間の合宿で見えたこと】

---- 日本男子代表ヘッドコーチとして初陣となったFIBAワールドカップ2023アジア地区予選Window1(11月27日・28日@ゼビオアリーナ仙台)は、強敵の中国相手に1戦目63−79、2戦目73−106という厳しい結果に終わりました。事前の合宿も含めてどのように振り返りますか?

「合宿自体はものすごくうまくいったと思います。8日間ほどの合宿期間中に、3つのトランジションオフェンス、12のセットプレー、サイドラインとベースラインからの攻め、ゾーンディフェンスやフルコートのプレスディフェンス、6つのピック・アンド・ロールディフェンスなど、多くのプレーに取り組みました。

 ところがいざ1戦目が始まってみると、出だしがよくなかった。中国がディフェンスでプレッシャーをかけてくるのに対し、うまく対応ができませんでした。相手のフィジカルな部分に対して負けないことが、我々がやらねばならないことのひとつでしたから。

 そして2戦目、私たちは再び出だしでつまずきました。たった8日間でチームを作り上げることはできません。今回の中国戦を受けて、これから改善していくべき箇所はかなりあると感じました」

---- 11月の合宿で張本天傑選手(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)が「PFとSF、どちらでプレーするように求められているのか?」という質問を受けた際、ホーバスHCからは「PFで宮澤夕貴(富士通レッドウェーブ/日本女子代表)のようにプレーしてほしい」と言われたと話していました。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

「そうですね。天傑は宮澤と髙田真希(デンソー・アイリス)の間のような選手としてプレーしてもらいたいと思っています。天傑は宮澤のように3Pが打てる一方、髙田のように頭がよく、ファシリテーター(進行役)にもなれますから。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る