火中の栗を拾う。ベンチャーマインドを持つBリーグ新チェアマンの覚悟 (2ページ目)

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro
  • photo by B.LEAGUE

 昨年11月に発表した2018−19シーズンの決算発表では全クラブとBリーグ本体、JBA(日本バスケットボール協会)は合わせて308億円の収益を上げ、年間入場者数も259万人を超えた。事業規模はリーグ、クラブとも右肩上がりで順調に推移している。最終シーズンはコロナ禍に見舞われ、試合数が約3分の2となったために数字を落としそうだが、それは不可抗力。Bリーグを立ち上げ、その人気を確かなものにした大河氏の功績は大きい。
 
 大河氏が元銀行員で財務に明るい実務家だったのに対し、次期チェアマン島田氏は25歳で旅行会社を起業。アジア通貨危機、リーマンショックなどの苦難のなかでも、企業の売却や新たな設立を経験しながら時代を生き抜いてきたベンチャーマインドを持つ経営者だ。

 中学時代は野球部、高校時代はサッカー部に所属するなど、もともとバスケットボールの世界とは無縁だったが、2012年に破綻寸前だった当時bjリーグ所属の千葉ジェッツを運営する株式会社ASPEの社長に就任。

 経営難に陥っていた球団を立て直すべく、NBLへの転籍や地域密着の強化などを打ち出し、8年連続黒字へと導いた。クラブの財政危機から成長フェーズまであらゆる段階を経験している。

 また千葉の代表と兼務する形でBリーグのバイスチェアマンを務めた時期もあり、昨年はリーグ初の1億円プレイヤー富樫勇樹を千葉から生み出すなど、さまざまな形でBリーグを牽引してきた。

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