2019.09.13

前進あるのみ。八村塁がW杯に
出たからこそ得ることができた「学び」

  • 小永吉陽子●取材・文 text by Konagayoshi Yoko
  • 松岡健三郎●写真 photo by Matsuoka Kenzaburo

 八村塁(SF/ワシントン ウィザーズ)に、ワールドカップ(W杯)の舞台は何をもたらしたのだろうか。ただ、負けて終わったわけではない。そのことが伝わってくる3試合だった――。

W杯初戦のトルコ戦でも3人のNBA選手を相手に戦った八村塁 1次ラウンド3試合のアベレージは、出場時間24.3分、13.3得点、5.7リバウンド。どの試合もエースとして働き、NBA選手の上から豪快なダンクをぶち込んで見せ場は作ったが、相手から徹底マークにあったことで、これまで以上に苦しむ場面も多かった。とくに3戦目のアメリカ戦では4得点に終わり、悔しさよりも、現状を受け入れたような表情を見せていた。

 1次リーグで3戦全敗を喫したあと、八村は「ディフェンスリバウンドが大事だとあらためて思った。来年はオリンピックがあるので、アメリカのような強いところと対戦して、ランキング1位というものが、どういうものかを感じたことはよかった。アジアのどの国も、上のラウンドに進むことができず、アジアのバスケは世界では通用しなかった。これからは日本を含めてアジアをどんどん盛り上げていきたい」とのコメントを残している。

 そして、最も対戦を楽しみにしていたアメリカ戦で封じられたことについては、こちらが質問する時間さえないまま、ロッカールームへと引き上げている。翌日、日本協会とワシントン・ウィザーズは、八村の順位決定戦の2試合欠場を発表。大会中から膝の不調と発熱による疲労を訴えており、9月末からのNBAのトレーニングキャンプに向けて休養を取ることがベストと判断されたのだ。

 日本代表への参戦や活動日数の制限は、ウィザーズの許可のもとで決められているだけに、体がSOSを出している以上、上のラウンドにつながらないのであれば、離脱という判断は致し方ないことだった。

 今回の疲労につながったのは、オフシーズンの多忙さも影響している。3月末のNCAAトーナメントを終えると、6月のNBAドラフトを含めてさまざまな活動とトレーニング期間があり、その後、NBAのサマーリーグに3試合出場した。そして、W杯に向けて合宿と強化試合をこなし、日本を背負って立つ役割を果たした。