バスケW杯で課題が露呈。日本は世界の戦術のトレンドに追いつけるか
ワールドカップ初戦のトルコ戦で世界の洗礼を浴び、2戦目のチェコ戦ではディフェンスの強度に慣れると少し噛みつくことができ、その歩みは小さいながらも確実に前進していた日本男子バスケ代表。
アメリカ戦で日本最多の18得点をあげた馬場雄大 しかし、1次ラウンド最終戦、世界ランキング1位のアメリカはやはり別格だった。全員が世界最高峰リーグのNBAプレーヤーで構成されているアメリカとの対戦に「雰囲気に飲まれて、最初から個々の勝負になったことがこの結果になった」と、孤軍奮闘で18得点をあげた馬場雄大(SF/アルバルク東京)は語った。
エースの八村塁(SF/ワシントン ウィザーズ)は、本気モードでぶつかってきたアメリカの執拗なディフェンスの前に前半0点、トータル4得点に抑えられ、得点の軸を失った日本は98-45で完敗。なんとか100点ゲームは免れたが、必要以上に選手たちは、「世界一」との対戦という、目には見えない圧力に押しつぶされてしまった。
無理もない。何しろ、A代表が公式戦でアメリカと対戦するのは1972年のミュンヘン五輪以来、47年ぶりである。日本がW杯に出場するのは13年ぶりで、06年の自国開催を除くと、自力で切符をつかんだのは21年ぶり。フリオ・ラマスヘッドコーチ(HC)が現実的な目標として「ヨーロッパ勢から初の1勝」を掲げたのは理解できる。
NBAドラフト9位で指名された八村のほか、2way契約を結んでいる渡邊雄太(SF/メンフィス グリズリーズ)、元NBA選手のニック・ファジーカス(C/川崎ブレイブサンダース)が揃った日本は、確かに史上最強だが、チームとして世界舞台に出るのは初出場に等しい。
NBAやヨーロッパのリーグで揉まれている選手が少ない日本は、戦い方の面で明らかに経験の差が出ていた。ただ、世界を体感したことで「ここからがスタート」と前向きにも捉えられるが、このフレーズは、3年前にアジア予選を勝ち抜いてリオ五輪の世界最終予選に出場したときも、13年前の世界選手権(現ワールドカップ)に出場したときも、やはり同じような言葉で総括されて繰り返されている課題だ。
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