東京がBリーグ連覇。
勝敗を分けた残り19秒のワンプレー (3ページ目)
その隙に、東京は得点を重ねて一気に千葉を突き放した。このクォーター、東京のフィールドゴール成功率は57.9%。東京のオフェンスがいかに効果的だったかを物語っている。最終的に第3クォーターを29−12とし、東京が19点の大量リードで最終クォーターを迎えることになった。
今シーズンをもって現役を引退した元女子日本代表PG吉田亜沙美は、このクォーターで東京に流れが傾いた要因を、「リバウンドの意識で初めて東京が千葉を上回ったこと」と語る。実際、第3クォーターで千葉のオフェンスリバウンドが0本に対し、東京は4本のオフェンスリバウンドを奪っていた。
東京の大量リードでゲーム終盤を迎えた時、昨シーズンのファイナルが脳裏を過ぎったファンも多かったのではないだろうか。昨年、千葉は終盤にリードを許すと立て直すことができず、最終スコアは85−60と実力以上の大差で東京に敗れた。
しかし、今季の千葉は、このままでは終わらなかった。
第4クォーター開始から富樫の3Pシュートを含む14−0のランで、残り4分32秒を残して一気に5点差まで詰め寄る。その後もジリジリと点差を詰め、ついに残り27秒、富樫が3本目の3Pを沈め67--69。2点差まで迫り、東京の背中に手をかける。
そして残り19秒、プレスをかけた千葉が、自陣でボールを奪い、原修太(SG/SF)が3Pライン付近に走り込む富樫にパスを出す。しかし、そのパスは富樫に通らず、万事休す。結果、このターンオーバーが勝敗を分けることになった。
残り19秒で焦る必要はなく、残り時間を目いっぱい使って攻めるべきだったという意見もあるが、それもひとつの結果論でしかない。このクォーターだけで3本の3Pを決めている富樫に原のパスが通っていたら、富樫が3Pを沈めて試合をひっくり返していた可能性はかなり高い。悔やんでも悔やみきれないターンオーバーとなったが、これが原の成長の糧(かて)となることを願ってやまない。
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