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ジョーダン並みの得点記録なのにハーデンはなぜ不人気なのか (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

「今夜、ハーデンは何点取ると思う?」

 ニックス戦の前、ニューヨーク・メディアの間でも盛んにそんなやりとりが交わされていた。全盛期のコービーのように、ハーデンは今では記録的なハイスコアリング・ゲームが常に期待される存在になったのである。 

 だが、これほど大爆発したにも関わらず、ハーデンの人気はまだまだ実力・実績に比例するレベルではないのかもしれない。

"バスケットボールの聖地"とも呼ばれるMSGでの扱いは象徴的だった。ウェスタン・カンファレンスのチームがMSGでプレーするのは1シーズンに1度だけとあって、現役時代のコービー、最近ではステフィン・カリーやケビン・デュラント(ともにゴールデンステイト・ウォリアーズ)といった人気スターが訪れると、試合前のシュート練習時にはコートサイドにファンが鈴なりになるのが恒例だ。しかし、23日のロケッツ対ニックス戦では拍子抜けするほどメディアが少なく、ファンの騒ぎもごくわずかだった。

 23日に発表されたオールスターのファン投票最終結果でも、ハーデンの得票数は全体10位。それでもリーグを代表するトップスターであることに変わりはなく、地元ヒューストンでは英雄だが、最近の勢いを考えれば全米的に人気が沸騰していてもいいように思えてくる。

 ハーデンにはコービーのような美しさ、レブロンのような迫力、カリーのような稀有なシュート力といったような持ち味がなく、「プレースタイルが華やかさに欠ける」という意見も散見される。

 1オン1からステップバックジャンパーを狙うか、巧みなステップでゴールに斬りこむのが真骨頂。 ゴール前でファウルを誘い、フリースローを稼ぐ能力は史上最高レベルである。今季の1試合平均10.3というフリースロー成功数はリーグトップだ。

 これらのスキルは見事であり、とてつもないオフェンシブ・プレイヤーであることに疑問の余地はない。その一方で、ハーデンは多くのファンが見ていて爽快感を覚えるタイプの選手ではないのだろう。昨季はオールスター&シーズンの両方でMVPを獲得し、今季もウィルト・チェンバレン、マイケル・ジョーダンといった名前が引き合いに出されるほどの得点記録を積み重ねながら、人気面で一部の選手の後塵を拝している原因はそこにある。

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