2018.12.14

オヤジ頑張る。41歳ビンス・カーターが
NBAで愛され続ける理由

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

 正直言って、ビンス・カーター(SF)が20代のころに、彼が40代になってもまだ現役を続けているとは思ってもいなかった。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

若いころは豪快なダンクで名を馳せたビンス・カーターも来年1月で42歳 高い運動能力が持ち味だったカーターが、身体的に衰えが出る年齢になってもNBA選手を続けるような息の長い選手になるとは思えなかったことがひとつ。さらに、若いころに取材したとき、彼がバスケットボールをそこまで楽しんでいるように見えなかったことも印象に残っていた。

 今から思えば、あれはダンクにばかり注目される周囲の期待と、自分のなかでの選手像に折り合いがついていなかっただけだったのかもしれない。

 何にしても、そんな予想に反して、来年1月末に42歳になるカーターは、NBA21シーズン目の今季もまだNBAのユニフォームを着ている。単にユニフォームを着ているだけでなく、アトランタ・ホークスでローテーションプレイヤーとして毎試合20分前後出場し、チームに貢献している。また時に、若いころを思い出すようなダンクを見せることすらある。

 今季のホークスは、ルーキーのトレイ・ヤング(PG)ら若手選手を中心とした再建中のチームだ。優勝どころか、プレーオフにもほど遠い。昨季所属していたサクラメント・キングスもそうだった。引退する前に一度優勝したいと強豪との契約を希望するベテラン選手も多いなかで、カーターは別の基準を持っているようだ。

 本人にその疑問をぶつけてみたところ、明快な答えが返ってきた。

「僕はただ、プレーしたいんだ」

 優勝を狙えるような強豪チームでは、ユニフォームを着たコーチ扱いで、試合にはほとんど出られない可能性もある。夏にFAになったとき、カーターは契約するチームを選ぶ前に、プレータイムをもらえるかを尋ねたという。なかには「シーズン前に約束はできない」と言ってくるチームもあったが、「それはそれで、正直に言ってもらってありがたい」と感謝して、丁重にお断りしたという。