2018.11.30

76ersが手にした「ギフト」。
ビッグ3の完成でチームは快進撃

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Image

「日曜日(11月25日)のブルックリン・ネッツ戦で、ジミー・バトラーは、フィラデルフィア・76ersがなぜ彼をトレードで獲得したかを示した」

『スポーツ・イラストレイテッド』誌電子版(SI.com)がそう記したとおり、それはまさに”スーパースター”のパフォーマンスだった。

今年11月に76ersに移籍し、早くもチームに欠かせない存在となったバトラー ニューヨークのブルックリンで行なわれたこの日のゲームで、76ersに加わって間もないバトラーは34得点、12リバウンド、4スティールと大活躍。第2クォーター終盤に、一時は46-66 と20点のリードを許したチームを、127-125の逆転勝利に導く立役者になった。

 中でも圧巻だったのは、残り0.4秒でアイソレーション(得点能力に優れた選手が1on1をしやすくするための戦術)から沈めた決勝3ポイントショット。難易度の高い一発が見事に決まった瞬間、バークレイズセンターに陣取ったネッツファンも呆気にとられたように沈黙するしかなかった。

「(最後のショットを打つのが)誰になっていても不思議はなかった。みんなは僕のことを信頼してくれるけど、僕も彼らのことを信じているんだ」

 試合後、騒然としたロッカールームでバトラーは謙虚にそう述べた。しかし実際には、76ersのブレット・ブラウンHC(ヘッドコーチ)の頭の中に、ラストショットを新加入のエースに託す以外の選択肢はなかったのだろう。

 2015-16シーズン以降、試合時間残り10秒以内にバトラーが決めたウィニングショットはこれが5本目。ラッセル・ウェストブルック(オクラホマシティ・サンダー)の7本に次ぐリーグ2位の記録であり、バトラーは「現役最高級のクラッチプレイヤー(勝敗を分ける大事な局面に強い選手)」と称えられるようになった。

 多くのタレントを擁する76ersにも、いわゆる”クローザー”は不在だった。スポーツ専門チャンネル『ESPN』の「Stats & Information data」によると、過去2シーズン、試合時間残り10秒以内で76ersの選手が放ったFG(フィールドゴール)13本のうち、成功したのは1本のみだったという。こんな状況を打開できる切り札がほしかったチームにとって、29歳のスーパースターはうってつけの人材。逆に言えば、『SI.com』が指摘しているとおり、このような場面で仕事をするためにバトラーはフィラデルフィアにやってきたのである。