失意のレブロンが引き金に。超大型移籍で来季のNBAは激変するか? (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 ただ、今オフに相当巧みにチームを作り替えない限り、レイカーズはすぐに優勝を狙えるチームにはならないだろう。噂されるオクラホマシティ・サンダーのポール・ジョージとレブロンの同時移籍が実現しても、それだけでウォリアーズ、ロケッツに太刀打ちできるかどうかは不透明だ。レイカーズは、長くレブロンのライバル的存在と見なされてきたコービー・ブライアントのチームという印象も強く、自らのブランドにこだわるレブロンがこの名門フランチャイズを選ぶかどうかは微妙に思える。

 その他、古巣のマイアミ・ヒート、レブロンが尊敬するグレッグ・ポポビッチHCが率いるサンアントニオ・スパーズを候補に含めるメディアも存在する。そして、もちろんキャブズ残留の線も捨てきれない。今季のファイナル終了後、レブロンは移籍の可能性を否定しなかったが、故郷への愛着を感じさせる言葉も残している。

「(来季にどうするかは)現時点ではまったくわからない。僕が常に考えているのは家族のことだ。特に子供たちの年齢もしっかりと考慮しなければならない。4年前に決断を下したときには彼らはまだ小さかった。今はティーンエイジャーがひとり、ティーンエイジャーになろうとしている子がひとり。そして、前回は生まれていなかった娘がいる。落ち着いてすべてのことを考慮するが、家族が最優先であることに変わりはない。だから、今この場で伝えられる答えはないよ」

 さらなる栄冠を目指して76ers、ロケッツに行くか。大都会でのビジネスチャンスも考慮した上でレイカーズを選ぶか。愛する家族も快適に感じるであろう故郷チームのキャブズと再契約を結ぶか。ここでの答えから、バスケットボール選手として、人間として、レブロンの現時点でのプライオリティが見えてくるのかもしれない。

 さまざまな選択肢が考えられるだけに、結末は読みづらい。現時点ではっきりしているのは、FA選手との交渉が解禁される7月1日から、とてつもない喧騒がスタートするということ。"レブロンの夏"の行方はリーグの勢力図を変えかねないだけに、その獲得を狙うチームの一挙一動からは目が離せない。

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